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ひどい感じ 父・井上光晴 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2005/10/13 |
JAN | 9784062752022 |
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ひどい感じ
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ひどい感じ
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商品レビュー
4
8件のお客様レビュー
単なる父の思い出ではなく、彼女なりの咀嚼と表現がなされた作品。井上光晴がどんな人なのか知りたく手に取ったが、彼女の文章を読むとその父がどれほどの能力を持っているか想像できる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルが『ひどい感じ』というので、光晴氏に何かよくない想い出があるのかと思ったのですが、そういう訳ではなく、光晴氏の書かれた詩の中の一節だそうです。 高見順さんの『いやな感じ』をもじって思いついたのかもしれないと荒野さんは語られています。 お父様の光晴氏は家族にも出生地を偽って中国の旅順生まれ(本当は九州の福岡)だと言ったり、「あんたたちは嘘だと思うだろうけどねぇ…」と実際にどの話も小説の一コマのようだったりしたそうです。逆に言えば、嘘・本当にかかわらず、小説的な話ばかりを私は聞いたといえるとおっしゃられていますが、生まれを家族にまで偽るのは普通ではない気がしますが、小説家らしいエピソードのように感じられました。 ⅠからⅣまでに章立てして書かれていますが、Ⅲの小説の創作に関する部分が一番面白く感じられました。 荒野さんの「あれの」というお名前は本名で、光晴氏がつけられたそうですが、男性に間違えられたり、最大の弊害は「平凡な人生が似合わないこと」だそうです。 荒野さんは、大学生の頃お忙しいお母様にかわって、光晴氏のノートに書いた小説を原稿用紙に清書する手伝いをし、小説の書き方を学んだそうです。 デビュー作の『わたしのヌレエフ』を読んだみんなが「お父さんに文体がそっくりですね」と言ったそうです。はっきり言えば、真似していたそうです。コツさえつかめば真似しやすかったそうで、そんなものかと思いました。 お父様は、この世界の「ぎりぎりの状況を逆転して前に進むために描き続けた」そうです。 「小説のテーマなんか、俺は瞬時に十くらい思いつくよ」「どう、一個十万円で売ってやろうか」などというやりとりもあったそうです。 小説家同士の父娘のやりとりは本当に面白かったです。 読了することが幸福なのではなく、読書している時間が幸福であるような小説。 私はそういう小説を書きたいと思っているが、私にとって父の小説はそういうものだったとの賛辞を述べられています。 エピローグで『もう切るわ』という荒野さんの長編小説はお父様の「もう切るわ」というメモ書きを発端に愛と死と嘘をモチーフとしたストーリーだとおっしゃられていて是非読んでみたいと思いました。 最後のお父様の誕生日には「日本のドストエフスキーは自分だ」というお父様にドストエフスキーの子供向け小説の『孤児ネルリ』をプレゼントしたという話や、子供の頃、お父様と自転車の練習をした日にお顔をくしゃくしゃにされて笑っていたのが記憶の中で、特別な位置を占めているというのが、じんわりとして、小説家、井上光晴の他に普通の父親としての一面もおありだったのだと思いました。
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井上光晴氏の本は読んだ事がないのだけれど、作家である娘さんに書いてもらえた事は幸運であるのではないかと思う。 しかも、付き合った男子達に『君はファザコンだね』みたいに言われてしまう荒野さんである。 非常に興味深かった。 作家の家というもののひとつの形態を見た気がする。
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