商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2005/08/25 |
JAN | 9784103671053 |
- 書籍
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ラブレーの子供たち
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ラブレーの子供たち
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3.9
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芸術家や文学者が食べていた料理を再現し、実食することでその人物像に接近しようと試みた唯一無二の料理エッセイ。 何度目かの再読。既読の四方田作品のなかで、そしてあらゆる食の本全体のなかでも特に好きな一冊。美しく再現された料理の写真がカラーで掲載されているのがいいのだ。 私は文学...
芸術家や文学者が食べていた料理を再現し、実食することでその人物像に接近しようと試みた唯一無二の料理エッセイ。 何度目かの再読。既読の四方田作品のなかで、そしてあらゆる食の本全体のなかでも特に好きな一冊。美しく再現された料理の写真がカラーで掲載されているのがいいのだ。 私は文学者が書く食エッセイを読むのが好きで四方田さんなら『ひと皿の記憶』も大好きだ。いろんな本からお気に入りを抜きだして集めたアンソロジーを編む妄想もするが、この本から選ぶならどこにするかかなり迷う。イタリア未来派ディナーコースや明治天皇の大昼食のヴィジュアル的な面白さをとるか、マルグリット・デュラスの豚料理やジョージア・オキーフの菜園料理みたく純粋に美味しそうさで選ぶか。ラフカディオ・ハーンが『クレオール料理読本』なんて本をだしているという情報の意外性も捨てがたい。 けれどたぶん斎藤茂吉のミルク鰻丼を選んでしまう気がする。ご飯に缶詰の蒲焼きをのせて温かい牛乳をかけた食べもの。自分で作る気はしないが本書のなかでも断トツに再現しやすく、しかもここまで〈斎藤茂吉〉を感じる料理はないと思う。作者の食体験と作品を容易に結びつけてしまっていいのかというテクスト論的な疑問はこの本全体にうっすらとかぶさっているのだが、茂吉の場合はテクストだけを見ても〈鰻の人〉だと言えるだろう。しかもそこに温かいミルクの匂いが漂ってくるなんてあの強烈なマザーコンプレックスまで表現されているみたいじゃないか。蒲焼きの缶詰をめぐる切実なようでどこかずっこけたエピソードもキャラがブレなすぎる。
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年末年始にYouTubeで行き当たった米粒写経の書籍談義から。四方田犬彦が「芸術新潮」に2002年から翌年まで連載していた「あの人のボナペティ」という連載を中心にまとめられた世界の芸術家と食の関係を語るエッセイ(?)。実際に彼らの好物を再現し、食して語るというものすごく挑戦的な企...
年末年始にYouTubeで行き当たった米粒写経の書籍談義から。四方田犬彦が「芸術新潮」に2002年から翌年まで連載していた「あの人のボナペティ」という連載を中心にまとめられた世界の芸術家と食の関係を語るエッセイ(?)。実際に彼らの好物を再現し、食して語るというものすごく挑戦的な企画で、その再現料理のカラー写真がまるで料理本のように掲載されているのも「芸術新潮」ならでは、と思いました。著者のアイディアというより新潮社の伊藤泰子さんという編集者の企画らしく、よくぞ著者をキャスティングしたな、と感心しました。芸術家のチョイスと好物の裏にあるひとりひとりの芸術の根っこみたいなものの掴み方は、さすがの四方田犬彦。彼自身の人生も絡めていきます。いわく「食物とは記憶である」と。あまりに面白いので、各メニューを備忘としてメモします。ロラン・バルトの天ぷら、武満徹の松茸となめこのパスタ、ラフカディオ・ハーンのクレオール料理、イタリア未来派のお国尽くしディナー、立原昌秋の韓国風山菜、アンディ・ウォホールのキャンベルスープ、明治天皇の大昼食、ギュンター・グラスの鰻料理、谷崎潤一郎の柿の葉鮨、ジョージア・オキーフの菜園料理、澁澤龍彦の反対日の丸パン、チャールズ・ディケンズのクリスマス・プディング、『金瓶梅』の蟹料理、マリー=アントワネットのお菓子、魔女のスープ、小津安二郎のカレーすき焼き、マグリット・デュラスの豚料理、開高健のブータン・ノワールと豚足、アピキウス 古代ローマの饗宴、斎藤茂吉のミルク鰻丼、ポール・ボウルズのモロッコ料理、イザドラ・ダンカンのキャビア食べ放題、吉本隆明の月島ソース料理、四方田犬彦のTVふりかけ、そして甘党礼賛でプルーストとマドレーヌの話にもふれています。これみんな、実際に調理、実食と実写なのです。その情熱が、芸術的!
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芸術家や著名人が好んで食べた料理を再現して実食。その料理から、その人物の料理観と人生観を探り出す… という一冊。登場するのは、ロラン・バルト、小津安二郎、開高健 etc... 忘れ得ぬ至上の美味しさには、高品質の食材や高度な調理技術とは別の要素も重要なことを、私が学んだ一冊です。
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