商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ミネルヴァ書房 |
発売年月日 | 2005/12/27 |
JAN | 9784623045600 |
- 書籍
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蘇我氏四代
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蘇我氏四代
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商品レビュー
3.2
5件のお客様レビュー
古代史系の本を選ぶとき、最近のマイブームは蘇我氏。 古代史好きな方のレビューを読んで興味を持ち、積読リストに入れてたこの本の存在を思い出し、図書館で借りてみました。 本書は、稲目から入鹿までの蘇我氏四代の歴史を検証し、蘇我氏が本当に悪者だったのかを検証したものです。 大王家を軽...
古代史系の本を選ぶとき、最近のマイブームは蘇我氏。 古代史好きな方のレビューを読んで興味を持ち、積読リストに入れてたこの本の存在を思い出し、図書館で借りてみました。 本書は、稲目から入鹿までの蘇我氏四代の歴史を検証し、蘇我氏が本当に悪者だったのかを検証したものです。 大王家を軽視、否定する意志や行動が確認できるのか、入鹿が本当に王権を奪う野心を持っていたのかなどについて日本書紀を中心に再考していきました。 どうなんでしょう。 私は蘇我一族が結構好きなので贔屓してしまいますがそれでも、「この記述は言葉通り受け取るべきではない」「こう記述があるのに、前の文脈に引っ張られて今まではそう捉えられていなかった」などと言われると、ん?それこそ都合の良い解釈じゃないの?なんて思ってしまいましたが、それはそれとして、面白い意見で楽しめました。 相変わらず基本的なことも知らないことが多いので、すぐ感心してしまうのですが(苦笑) うまくまとめられないので興味を持ったこと、以下とりとめなく記載してみます。。 まず、蘇我の子孫が百済系渡来人、という説。ここでも否定されてましたね。 やっぱり違うのか。葛城氏の分家らしいです。 次に馬子と守屋の関係。先日宿命のライバルというのは間違えで、元々の関係は良好だとするものを読みました。 ここでもそれと同意見。少なくとも馬子が若い時は守屋が馬子を後見補佐する立場だったみたいです。 それが馬子が大臣としての経験と実績を積み重ねていくに伴って守屋の存在価値がなくなり、守屋は若い大臣の後見補佐という既得権益を手放せず、要するに馬子の成長と自立によって晩年両者の間には当初の協調関係が失われていったと考えられているそう。なるほど。 崇峻暗殺は推古の命令があった、らしい。推古黙認じゃなくて推古の意志、なんですね。 なぜかと言うと、推古&馬子は強烈に飛鳥寺建立を目指していたのに対し、崇峻は任那復興を最重要項目としていたから。両方やるには予算足りないし、朝鮮のいざこざに首を突っ込むと飛鳥寺建立の手助けを渡来人がしてくれなくなっちゃうかもしれないから、推古はやりたくなかったのね。 山背大兄一族を滅ぼしたのは入鹿であるが、それは入鹿の意志ではなくて、皇極天皇の示唆に従って起こしたものだそう。 それは、新大臣入鹿の器量と忠誠度を確かめるため。それと、皇極は推古の遺志を継いで、飛鳥川の東岸に王都建設を企てていて、そこに斑鳩の都は邪魔だったからそうしたんだと。 このあたりはあまり納得感がなかったな。そんなくらいで一族滅ぼす?! そして最後! 入鹿の暗殺の裏には軽皇子(孝徳天皇)がいたと主張されていました。 中大兄でも鎌足でもなく、です。彼らは命令に従っただけ。 中大兄が首謀じゃない理由は、この時若干二十歳の彼。自分の王位継承権を入鹿に脅かされたから、という動機は弱すぎる。王位継承第一人者でもないのにそこまで考える?とのこと。 「専横を極める蘇我氏の排除」とは後付の理由であって本当は、山背滅亡の後、皇極が次期天皇をして古人大兄を指名したことで自身の王位継承の可能性が無くなることに焦る。 で、古人大兄の後見である入鹿を罪人として葬れば古人大兄の王位継承資格が否定されるために入鹿を葬ったのでした。 しかも、日本書紀上では皇極は全く無関係とされていたけどそれもウソ。 孝徳は、皇極が目指した王都建設に協力するためには自分が次期天皇にならねば、と執拗に迫った結果、なのだそうです。。 孝徳恐るべし。のちに中大兄や皇極にないがしろにされて寂しい晩年を迎えることを知っているせいか、悪人の人物像が想像できなかった・・・
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貶められていた部分のある蘇我氏を復権させようとするあまり、公平な見方ができていない。 たとえば、崇峻天皇殺害の罪を軽い印象にするため、物部守屋を用明天皇殺害犯に仕立てあげる。厩戸皇子の功績を、蘇我氏のものとして奪ったりする。 「蘇我氏を悪として決めつけるのはよくない」というところ...
貶められていた部分のある蘇我氏を復権させようとするあまり、公平な見方ができていない。 たとえば、崇峻天皇殺害の罪を軽い印象にするため、物部守屋を用明天皇殺害犯に仕立てあげる。厩戸皇子の功績を、蘇我氏のものとして奪ったりする。 「蘇我氏を悪として決めつけるのはよくない」というところでやめておけばいいものを、「蘇我氏は善で、日本の将来を真剣に憂いていた」みたいな行き過ぎた顕彰へ持っていこうとしている。 論証も粗雑で、これがプロ研究者の仕事かと驚かされた。 蘇我氏について読書をしたいならば、加藤謙吉氏『蘇我氏と大和王権』や水谷千秋氏『謎の豪族 蘇我氏』といった、丁寧な論証や穏当なまとめのされたものを読み、本書のような突飛な論考は後回しにするのが良いと思う。
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遠山氏は、蘇我氏に好意的な解釈をする考古学者の中でも特に支持したいと思う方です。 蘇我氏を善く評価しているわけではない、と云うのが好ましい。 蘇我氏を正しく評価しているのである。 政の中枢にいて大いなる権力を誇った蘇我氏が忠実で実直な聖人君子であった筈は、恐らくはないだろう。...
遠山氏は、蘇我氏に好意的な解釈をする考古学者の中でも特に支持したいと思う方です。 蘇我氏を善く評価しているわけではない、と云うのが好ましい。 蘇我氏を正しく評価しているのである。 政の中枢にいて大いなる権力を誇った蘇我氏が忠実で実直な聖人君子であった筈は、恐らくはないだろう。 だが、国の発展に力を尽くし、事実倭国は蘇我氏の力により大いに興隆した。 それが妻の解釈であるが大凡同じ事を遠山氏は言っているのだと思う。 この本は稲目・馬子・蝦夷・入鹿の四代について そして、時代と政と云った背景を、 日本書紀を中心とする文献から解き明かしている。 あまり気にもとめていなかった政の仕組み(氏姓や践?、寺院建立)などについての推論はとても興味深い。 なにより蘇我氏が大王に対して忠義を貫いたと云う見解は(単なる蘇我贔屓ではなく)説得力があります。 時折、今し方滔々と説いた内容を覆すような、否定した方式を用いて真実を見出すような、理に合わない持論が出て来るのが如何ともし難いのですが、そうした矛盾は自分自身に考える機会を与えられたと思えば違った楽しみ方が出来るものです。 蘇我氏自身について掘り下げている訳ではないので 個人を深く知りたい方は注意されたい。
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