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文明の憂鬱 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 2005/12/22 |
JAN | 9784101290379 |
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文明の憂鬱
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芥川賞受賞作家、平野啓一郎の2000年頃の時事に対する随筆。流石に二十年以上も前のことなのでAIBOや狂牛病の問題など、些か古くはあったものの、気付けば忘れ去られていたことの中に、結局のところ何だったのかと、その本質も知ることがいかに難しく、またそういった物事に対して考えるとい...
芥川賞受賞作家、平野啓一郎の2000年頃の時事に対する随筆。流石に二十年以上も前のことなのでAIBOや狂牛病の問題など、些か古くはあったものの、気付けば忘れ去られていたことの中に、結局のところ何だったのかと、その本質も知ることがいかに難しく、またそういった物事に対して考えるということが、いかに大事なのかと知らされた。 個人的には「錠と鍵とを巡るイメージ」、「新しい身体」などは共通点が垣間見えて興味深かった。しかし平野啓一郎は、こういった時事の随筆よりは小説の方が断然その表現力が圧倒していると思うのは私だけであろうか。
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毎度この方の文章を読むたびに、文学、歴史、音楽等の広範な知識とそれに基づく深遠な視点と思想に驚かされる。ややニヒリスティックに感じることもあるけれど。ともあれ、圧倒的な知識をとっても、それを反映させる筆力をとっても、この方は本当に天才だと思う。同じ時代に生きていることを感謝するく...
毎度この方の文章を読むたびに、文学、歴史、音楽等の広範な知識とそれに基づく深遠な視点と思想に驚かされる。ややニヒリスティックに感じることもあるけれど。ともあれ、圧倒的な知識をとっても、それを反映させる筆力をとっても、この方は本当に天才だと思う。同じ時代に生きていることを感謝するくらい。 本書が書かれたのは同時多発テロが起こった2000年頃。BSEやライフスペース、そんなこともあったなとなつかしく思う一方で、その視点や発想は今読んでも全く色褪せることがない。むしろ今こそ議論してもよいのではとさえ思う。特にパトリオティズムやナショナリズムのくだりは今こそ日本人が考えるべき内容だと思った。
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芥川賞作家・平野啓一郎のエッセイ集。 月刊誌「Voice」連載当時は、毎月、編集部からトピックス的な写真が 20~30枚送られてきて、平野氏が気になったものを直感的に選び、 思うままに書くというスタイルをとっていたらしい。 印象的だったのは「錠と鍵とを巡るイメージ」の章。 ...
芥川賞作家・平野啓一郎のエッセイ集。 月刊誌「Voice」連載当時は、毎月、編集部からトピックス的な写真が 20~30枚送られてきて、平野氏が気になったものを直感的に選び、 思うままに書くというスタイルをとっていたらしい。 印象的だったのは「錠と鍵とを巡るイメージ」の章。 中国からのピッキング集団が大きな社会問題化していることを受け 日本人のセキュリティ意識を論考してくかと思いきや、 論旨は思わぬ方向に進む。 同氏が以前、ノルマンディのベネディクト会博物館を訪れた際、 膨大な数の「鍵」のコレクションに仰天した話を持ち出す。 これらの鍵は当時の修道士達の労働の産物で、 いずれも「複雑な細工たるや、殆ど呪文の如き印象を与えるものばかりであり、 しかも、どれもが競い合うかのようにしてその厳めしいほどの 頑強さを誇示し合っている」。 これを同氏は日々の労働に勤勉だった修道士達の 「抑圧された欲望の恐るべき化身」のように見受けた。 少し長いが引用すると。 「彼らの作り上げた鍵の迫力は、まさしく彼らのファロスそのもののような 魁偉な軸と、そこに膨らんだ不在の対象への屈折した夢想の表現であり 且つ混乱に満ちた複雑な禁止の印でもある歯との、強引な統一にこそあり、 その沈静化された火照りの暗く重々しい佇まいは、彼らの敬虔さの 苦悶そのもののようであった」 時に、衒学的と非難の対象となる同氏の深い教養と 小説家ならではの視座が融合された随筆は興味深く、 しかも、このエッセイが書かれたのがどうやら26~28歳くらいで、 更に実は自分と同い年であることを考量に入れた時の、 同氏への驚愕に似た敬意と自分への嘆息が入り混じって実に味わい深い(笑)。
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