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地ひらく(上) 石原莞爾と昭和の夢 文春文庫
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地ひらく(上) 石原莞爾と昭和の夢 文春文庫

福田和也(著者)

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地ひらく(上) 石原莞爾と昭和の夢 文春文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋/
発売年月日 2004/09/01
JAN 9784167593025

地ひらく(上)

¥814

商品レビュー

4

11件のお客様レビュー

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2010/05/28

 山本七平賞受賞作で…

 山本七平賞受賞作である。満州事変を主導した軍人、石原莞爾の天才的な生涯を描いたノンフィクションで、戦争前の昭和とはどういう時代だったのかを見事に描ききっている。善悪で時代を判断せず、当時の社会、指導者がどう歴史を切り開いていったかが、胸を打った。

文庫OFF

2024/12/21

第一次世界大戦後の日本は「英米人ノ圧迫」の下で「移民ノ道」と「工業ヲ大々的ニ発展」という課題を、同時に解決する方途として構想されたのが満州事変。この構想は、はじめから石橋湛山が小日本主義で展開していた議論を踏まえ、自由貿易の不可能性という認識に立って、市場足りうる空間を、英米の膝...

第一次世界大戦後の日本は「英米人ノ圧迫」の下で「移民ノ道」と「工業ヲ大々的ニ発展」という課題を、同時に解決する方途として構想されたのが満州事変。この構想は、はじめから石橋湛山が小日本主義で展開していた議論を踏まえ、自由貿易の不可能性という認識に立って、市場足りうる空間を、英米の膝下の外に求めるという意図から満州国が作られた。その日本の生存のための「建国」は、より広範囲な諸民族の生存のための場所として、石原莞爾にとらえられ、試みられ、祈願されるようになっていった。

Posted by ブクログ

2024/07/19

石原莞爾は稀代の天才戦略家だ。 満州事変の首謀者だが、ソ連と中国という軍事大国の狭間で、弱小日本帝国陸軍を以て、満州を占領するに当たっては、驚くべき緻密な計画を以てそれを実行に移してみせた。 太平洋戦争の淵源は満州事変にあることから、石原は、極東軍事裁判での死刑判決を覚悟してい...

石原莞爾は稀代の天才戦略家だ。 満州事変の首謀者だが、ソ連と中国という軍事大国の狭間で、弱小日本帝国陸軍を以て、満州を占領するに当たっては、驚くべき緻密な計画を以てそれを実行に移してみせた。 太平洋戦争の淵源は満州事変にあることから、石原は、極東軍事裁判での死刑判決を覚悟していた。 だが、法廷では、論理を以て堂々と、連合国(特にアメリカ)の非道を弾劾する肚を固めていた。 しかし、彼は戦犯として法廷に呼び出されることはなかった。 勝者である連合国軍がもっとも恐れたのは、石原莞爾による連合国軍批判だった。 その石原莞爾を中心に据えて、昭和という時代を、文化•政治の総体として丸ごと捉えようとする野心的な作品が本書だ。 福田和也は、江藤淳の愛弟子。 石原によって企てられた満州事変が、国際政治を踏まえながら、いかに緻密に立案、実行されていたかが分かる。 絶対的な不利な状況下、情報戦を含めた驚きの計画で、易々と満州を占領してしまう。 その後、柳条湖事件で、陸軍による同じような事件が企てられるが、満州事変に比べると、お粗末の一言。 軍人の劣化、国際感覚の欠如、精神主義の跋扈という日本の病巣を露呈させている。 柳条湖事件を止めようとした石原莞爾に対して、貴方がやったのと同じことをするのに、止める資格は無い、と言い放った軍人たちを、石原は呆然と見つめるしかなかった。 日中戦争という扉を開けたのは石原だ。 その意味での石原の責任は重い。 しかし、勝算もなく扉を開け放って、中国、アジアを戦乱の嵐に放り込んだのは、石原以降の軍人たちだ。 この本は、石原を含めて当時の日本人が大陸に見ていた夢(理想郷)を、まざまざと見せてくれる。 日本人全員が見ていた共同幻想、それが大陸における、八紘一宇の理想国家だったのだ。 現在の視点から見れば、なんという自分勝手なお題目だと思うが、昭和のその時点に自己を置いた時、そのお題目はリアリティを持った夢(今日もう幻想)として立ち現れてくるのだ。 その夢から脱することがいかに難しいことか、この時代に読者を導くことで、本が教えてくれる。 戦争を選択したのは日本人全員なのだ。 現在見ている夢(共同幻想)が、夢に過ぎないことを自覚して生きよ、と本書は訴えている。

Posted by ブクログ

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