商品詳細
内容紹介 | 内容:十三番目の傷. ひたひたと |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2004/09/15 |
JAN | 9784062126113 |
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ひたひたと
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ひたひたと
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野沢尚の最期の作品『群生』のプロットと、途中で終了した連作(5作で終了予定のうち、2作)が収められた本。 言ってみれば中途半端な状態のものを全て掲載した本。 「十三番目の傷」:ある男女が出会い、一夜を共にする事になる。 しかしその女の肌には、無数の傷が付いていた。 その理由...
野沢尚の最期の作品『群生』のプロットと、途中で終了した連作(5作で終了予定のうち、2作)が収められた本。 言ってみれば中途半端な状態のものを全て掲載した本。 「十三番目の傷」:ある男女が出会い、一夜を共にする事になる。 しかしその女の肌には、無数の傷が付いていた。 その理由を聞くと、「自傷癖」であると言う。しかし、自分では届かない背中にも傷がある。 果たしてその女の傷の本当の理由は。。。 「ひたひたと」:幼い頃、中学生に辱めを受けた女。 その犯人に立ち向かおうと強く生き、性行為に対する恐怖は残るものの、幸せな結婚をした。 しかし、その女の前に当時の中学生の幻影が現れる。 過去の記憶が甦り、混乱する女。その中学生は本当に存在するのか。。。 そして、過去に自分に悪戯した男の正体は。 「群生(プロット)」:ある日、離婚した妻との間にもうけた一人息子から突然電話がかかってくる。 「自分が生まれてきたのは間違いだったのかな…」と問う息子。 翌日、食事の約束をしてその話を詳しく聞こうとしていたが、息子は自殺してしまった。 原因がわからず、混乱する主人公・中路。 息子の死の理由を探るうちに、いかがわしい商売をする男・槙野に出会う。 中路はその後、ある理由から槙野の娘(桧垣潮音)がいるという隠岐島へ向かう。 そこで潮音や周辺の人々に出会い、中路の心には様々な感情が生まれる。。。 「群生」という作品については、プロットだと言う事だったので正直期待していなかったのだが これがすっかり小説の形を為していたのには驚いた。 少なくとも野沢尚という作家はプロットの段階でほとんどの構想を練り上げる人であったのだろう。 物語としても非常に考えさせられるものだった。 (途中の手紙の章は少しクドかったが) 生きる事。死ぬ事。罪と罰。これらについての野沢尚の考え方が出ているようである。 この話の中で、明確な悪人は殆どいない。槙野についても善悪両面を持っており、完全な悪人とは言い切れない。 秋成という青年は潮音に好意を抱いているが故に悪事に手を染めるが、指摘されれば悪事から手を引く。 中路は大きな罪を犯しているものの、息子や潮音、秋成の事を考えて行動する善人だ。 国吉という老人は、戦争中の大虐殺に加担している。その当時は強姦もしているし何人もの命を奪ってもいる。 しかしこの島では一目置かれる老漁師である。本人も命の重みを知り、当時犯した罪の大きさも自認している。 そんな複雑な人間模様がプロットから伝わってくるのだから、 仮に作品になっていたならばもっと重みのある物語になっていたのかもしれない。 (重すぎて嫌になるかもしれない) その他の2編については、野沢作品にしては少し物足りないかな、という印象を受けた。 というか、基本性描写みたいな。 映像化してもR-18指定とかになりそう。 ただ、これも連作のうちの2作品という事であるので、全編通したらもっと面白い仕掛けがあったのかもしれない。 出来れば最後まで読みたかったものである。 このように、未完成の作品が世に出る事自体「作家・野沢尚」の人気を証明するものであり、 彼の作品に惹かれていた一人の読者として、彼を失った事は残念でならない。 もっと読みたかった。これに尽きる。
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著者の最後の作品。魅力的な美人外科医の秘密「十三番目の傷」、少女時代の心の傷を持つ女性が執念をもって探し出した人物は・・・。主人公の気持ちに同化して謎解き、興味深く一気に読ませる、いずれも「傷」がテーマで、あまりにも悲しい残酷な物語である。5人の秘密の開陳が2人で未完になったらしい。著者の最期の作品になった!!理由が分かる気がする。
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遺作。本当に最後まで読みたかった。 ゆっくりと高まっていく緊張感、読後の解放感。 思わず後ろを振り向いてしまうような一作でした。
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