商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 2004/04/10 |
JAN | 9784167651404 |
- 書籍
- 文庫
キャパ その戦い
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キャパ その戦い
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▼「キャパ その戦い」リチャード・ウィーラン、初出どうやら1986(アメリカ)。沢木耕太郎訳、文春文庫。ロバート・キャパについての、今でも恐らくいちばん定番の評伝でしょう。文庫化にあたって全3冊になったその2冊目。キャパはスペインの内戦を通して「命知らずな戦場カメラマン」という名...
▼「キャパ その戦い」リチャード・ウィーラン、初出どうやら1986(アメリカ)。沢木耕太郎訳、文春文庫。ロバート・キャパについての、今でも恐らくいちばん定番の評伝でしょう。文庫化にあたって全3冊になったその2冊目。キャパはスペインの内戦を通して「命知らずな戦場カメラマン」という名声を手にし、世に躍り出ます。二人三脚だったゲルダ・タローの戦場での死を経て、そのまま第2次世界大戦へ。ユダヤ人であり、ナチスと結んだハンガリー国民であるキャパは、さまざまな生きづらさを抱えながらパリ、ロンドン、そしてニューヨークへと名声を転がしながら流転。そして何よりも戦場を求めて、そして戦場に疲れ戦争を嫌悪しつつ、より激しい戦場へと突き進んでいきます。 全般、とにかく、おもしれぇ。 ▼戦場の悲惨を伝え、戦争の悲劇を売ることで名声をなして。一方で「もう危険なことはやだから違う写真撮って生きていこうっと」とはならない。そうなるには、キャパはまだ若すぎたのか、それとも予め流浪の身に慣れすぎたのか。そんなキャパの心情を作者が考察するくだりが、これは戦争だけに限らず多くの「現場」というものにあてはまる真理だなと思いました。 ▼(本分より)キャパとはガフサのプレス・キャンプで会っていたアーニー・パイルが書いている。<それは基本的なもののみによって成り立っている生活だった。食料、睡眠、移動。そして、各自の工夫によって手に入れられる暖かさや安全のどんなに少ないことか。…..しなくてはならない約束は存在せず、他人がどう見えるかなど気にしている者はいない。形式主義は最小にしか存在しないし、また軍は私たち特派員を家族の一員として受け入れてくれた。私たちは数百人の兵士を知り、友達になった>。 ▼(本文より)…ふたりの司令官は、キャパが大好きな、あの率直さと人間味のある暖かさと上質のユーモアという特徴をもっていた。………派手で型にはまらない個性の持ち主であり、粗野で下品な言葉使い、………かなりの放任主義的態度と並んでつとに有名だった。さらに呑気なところがあった。部下たちはその勇敢さと、自尊心の強さと、下手なシャレと、詩を暗唱する能力とによって彼を愛していた。 ▼軍隊は集団で生死を賭けるので集団主義なんですが、この時期のアメリカ軍はどうやら同時に生死を賭ける分だけ合理的で実質的でもあったということでしょう。この前提としてなにより物理的に補給が満ち足りていたということが見逃せませんけれど。(キャパの言及でもスペイン政府軍について同様のことはあまりないんですね。むしろ、その時のジャーナリスト仲間については同様の愛着があるようですが) ▼そういう意味では軍隊や戦場での仕事は、予めどの文化にも馴染んでいないストレンジャーであるキャパにとっては、居やすかったのかもしれません。彼はブタペストのプチブルジョア一家で18まで過ごしたあとは、ベルリン、パリと最底辺の暮らしをのたうちまわっただけですから。そしてその過程で何度も出てくるのは「同じハンガリー生まれの人の情けにすがってなんとか仕事を貰った」みたいな記述です。同じ才能を持っていても、パリやロンドンやニューヨークの中産階級以上に生まれていれば、戦場をさまようことに人生を賭けなかったのかもな、と思ったり。そんなこんなで、ノルマンディー上陸作戦が近づく中、「キャパ その戦場」読了。いよいよ最終巻へ。
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伝記作家「リチャード・ウィーラン」の著書で「沢木耕太郎」が翻訳した作品『キャパ その戦い』を読みました。 先日読んだ『キャパ その青春』の続篇です。 -----story------------- 戦場から戦場へ―戦争写真家「キャパ」は修羅の巷でシャッターを切り続ける。 スペ...
伝記作家「リチャード・ウィーラン」の著書で「沢木耕太郎」が翻訳した作品『キャパ その戦い』を読みました。 先日読んだ『キャパ その青春』の続篇です。 -----story------------- 戦場から戦場へ―戦争写真家「キャパ」は修羅の巷でシャッターを切り続ける。 スペイン、中国、北アフリカ、シチリア島、イタリアの最前線で彼のレンズは“戦争”を捉え、伝える。 だが、その戦場で、同僚であり最愛の女性だった「ゲルダ」を喪い、生涯の友人となった作家の「ヘミングウェイ」と出会う。 戦場が日常と化した「キャパ」の奮闘は続く。 ----------------------- 「キャパ」の人生を辿った三分冊の二冊目の作品… 「キャパ」23歳から30歳までを扱っており、以下の章構成で描かれています。 ■磔にされた町 ■戦場から戦場へ ■明日にはもっと ■長い葬列 ■生み出される死 ■四億の民 ■別れの儀式 ■ニューヨークへ ■偽装結婚 ■亡命者たち ■打ち砕かれて ■ピンキー ■熱砂の戦場 ■シチリア上陸 ■岩と泥と雪と 「キャパ」がスペイン内戦や日中戦争、さらには第二次世界大戦を通して、しだいに戦争写真家として有名になっていくプロセスが描かれています。 巻末に掲載されている「沢木耕太郎」による「原注、訳注、雑記」が、本文を読むうえでのポイントや補足事項を抑えてあるので、とても便利で、先に「原注、訳注、雑記」を読んでから、本文を読むのが習慣になりましたね。 強く印象に残ったのは「ゲルダ」を失った直後が描かれた『長い葬列』… 「キャパ」はのちに、「ゲルダが死んだときに自分の人生もある種の終焉を迎えてしまったのだ」と語ったそうです。 「崩れ落ちる兵士」が、本人の意思や事実とは離れ、コントロールできない状態となり、その重荷(十字架?)を背負わざるを得なくなったことと、「ゲルダ」の死による絶望感によって、「キャパ」の人生は危険と隣り合わせとなることが決まってしまったんでしょうねぇ… 自分から、そうせざるを得なくなったんだと思います。 そして、本書の中で、忘れられない「キャパ」の言葉… 「キャパ」がアマチュアカメラマンにアドヴァイスしたひと言、、、 「人を好きになること、そしてそのことを相手に知らせること」 この言葉が「キャパ」の性格を凝縮していると感じました。 写真が撮られた背景がわかってくると、その時代の写真を再度、確認したくなって『フォトグラフス―ロバート・キャパ写真集』を時々見返しながら読んでいます… 写真を撮った際の情況がわかると写真の印象も変わってきますね。 三分冊目の『キャパ その死』も機会があれば読んでみたいですね。
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キャパの人好きのする性格、勇敢さ、写真家としてのプロ意識を、戦争という荒波の中で描いている。 ただ、読み物としては、単調で、面白味のあるものではなかった。 それぞれの戦争の予備知識があれば、場面を想像しながら、当時の状況におけるキャパに思いを馳せることが出来るのかも知れないが、...
キャパの人好きのする性格、勇敢さ、写真家としてのプロ意識を、戦争という荒波の中で描いている。 ただ、読み物としては、単調で、面白味のあるものではなかった。 それぞれの戦争の予備知識があれば、場面を想像しながら、当時の状況におけるキャパに思いを馳せることが出来るのかも知れないが、背景が分からない私にとっては面白味に欠けるように思えた。
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