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戦争案内 映画製作現場、アジアからの報告
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 技術と人間/ |
発売年月日 | 2004/01/31 |
JAN | 9784764501423 |
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戦争案内
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戦争の原因・背景を、経済、要は金儲けという視点から考察した本である。著者は歴史学者でも、経済学者でもなく、本職は記録映画のカメラマンである。著者らは、教科書検定を通して不都合な事実を隠し、歴史を変えようとすらするこの国の姿に疑問を持ち、「教えられなかった戦争」というドキュメンタ...
戦争の原因・背景を、経済、要は金儲けという視点から考察した本である。著者は歴史学者でも、経済学者でもなく、本職は記録映画のカメラマンである。著者らは、教科書検定を通して不都合な事実を隠し、歴史を変えようとすらするこの国の姿に疑問を持ち、「教えられなかった戦争」というドキュメンタリー映画シリーズの制作に着手する。マレー半島、フィリピン、沖縄等へ行き、住民に話を聞くなかで、戦争が止まないのは戦争を必要としている者がいるからであり、戦争を起こしているのは政治家でも軍人でもなく、その彼ら・彼女らであるという、戦争の本質を確信していく。 本書に引用されている、三井物産の1876年から1940年前期までの利益の推移表は、大変興味深い。戦争や植民地獲得を契機に、利益が著しく跳ね上がるのが一目瞭然である。「戦争特需」という言葉がある。戦争によって起こる好景気のことと説明されるが、事実はおそらく逆だろう。戦争が起こって好景気になるのではなく、儲けるために戦争を起こすのだ。戦争の後に商売が来るのではなく、本書の言葉通り、「商船が軍艦を呼ぶ」のだ。 日本は今現在、武力で他国の領土を侵害することはもちろん行っていないが、第二次大戦後も、巧妙に、冷酷に、「合法的」に、同じことを行ってきたし、現在も行っている。本書の後半は、その報告である。こうした事実は、報道機関のスポンサーになっている大企業と、それと一体化した権力者の圧力から、私たちにはあまり知らされない。著者によって目を開かされ、日本企業とアジアの他国との関わりを伝えようとした新聞記事、テレビ番組は、内容を骨抜きにされるか、記事、番組そのものが発表を頓挫させられたとのことだ。 戦争が関わる作品を作る際、話題を戦争の悲惨さ、残虐さにとどめておけば、文部省(当時)の推薦がもらえたり、学校の図書館で買ってもらえたりして製作費が回収できるが、戦争を誰が必要として何のためにおこすのかという根本原因、現在進行している事態にふれると、最早その作品はなかったかのように扱われる仕組みになっている、と著者は言う。本書は2004年の発行だが、現在、事態は更に悪化し、戦争の悲惨さ。残虐ささえ、きちんと報道はされなくなってきている気がする。つい先日もNHKは、首相が関わる一大詐欺事件「加計学園問題」の番組を制作し、放送予定まで流しながら、結局放送をとりやめた。この国では報道の自由度が、近隣のどこかの国の実状に極めて近くなってきている、だからこそ、本書のような本は貴重である。 現在新品は入手できないようだが、古書店、図書館等で探し、是非多くの人に読んでほしい本である。
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毎年8月の前後1か月は、日本が巻き込まれた(引き起こした)戦争について考えるべく、それを解説した本を読むように心がけています。 今まで太平洋戦争は、政権を握った軍部が主導して、民間企業を協力することを強制して戦争を遂行していたと思い込んでいましたが、この本を読む限り、天皇をはじ...
毎年8月の前後1か月は、日本が巻き込まれた(引き起こした)戦争について考えるべく、それを解説した本を読むように心がけています。 今まで太平洋戦争は、政権を握った軍部が主導して、民間企業を協力することを強制して戦争を遂行していたと思い込んでいましたが、この本を読む限り、天皇をはじめ多くの大企業は戦争による利益を十分に得ていていることがわかりました。 よく大企業が政府に貸し付けていた戦時国債が戦後になって紙切れになったという話をききますが、それに至るまでに企業としてかなり大きくなったのは戦争のおかげであることが予想されました。 また、日露戦争でバルチック艦隊がどこから来るのか、東郷平八郎が大いに悩んだという話を聞いたことがありましたが、この本を読んで(p19)少し褪せた気がしました。 この本は、私に別の角度から、太平洋戦争をみる良い題材になったと思います。 以下は気になったポイントです。 ・基本的に軍人や政治家は、金で操られた操り人形の役をしたに過ぎない、金で軍人や政治家を操って莫大な利益を上げてきたのは、財閥や資本家であるが、それは日本の歴史書には書かれていない(p8) ・三井物産は、日本の軍隊が出かけていくずっと前から、中国に進出、支店網をめぐらせていて、日露戦争のときはその支店網の情報を活用して、ロシア軍艦の動きをキャッチして日本軍にもたらして日露戦争の勝利に貢献した(p19) ・日清戦争を遂行するために増税をする必要があった、時の首相である山形有朋は国会で何度も否決されるので、反対派議員を買収するために議員の歳費を一挙5倍にした、さらに買収資金を与えた(98万円=現在で100億円)がそれを提供したのは天皇である(p23) ・台湾を植民地にしたのち、台湾の最大の産業である製糖業を三井物産が独占的に経営した、天皇はその台湾製糖の第二位の株主、株配当は、10年後には12%、20年後には100%(p24) ・天皇家の保有株数は1942年時点で、日本が行う戦争に関わっていた企業や植民地支配関連企業、日本が植民地を拡大すれば着実に巨大な利益が得られる仕組みになっていた(p28) ・天皇家は封建時代の末期(慶応3年)は資産評価額はわずか、10万円程度で苦しい生活であったが、明治11年には10倍、明治22年にはほぼ100倍になった、国会開設以前に地方の諸大名から取り上げた資産を天皇家の資産にした(p29) ・終戦当時(昭和20年)の天皇家の資産は、15億円相当(経済学者の試算では660億円)、所有土地面積は日本全国の10%、農地は平均農家の4万戸分、所有宅地面積は68万坪(p29) ・大正時代の民主化運動、反戦平和運動は、10年おきに資本家が 起こしていた戦争をできない状態にした(p41) ・1925年に民主化運動により普通選挙法を制定されたが、それと抱き合わせで治安維持法を制定した、当時は「過激派」のみを取り締まるものであったが、最終的には反政府的発言をする人も投獄されるようになった(p45) ・226事件(1936)に至るまでに、少なくとも2つの未遂のクーデター事件(1931年3月、10月)がある(p45) ・3月事件には、尾張家徳川家19代当主である徳川義親が資金援助していた、10月事件は、藤田勇という戦争ブローカーが提供(p47) ・日本の軍隊を使ってマレーシアから欧米を追い払った後に、39か所の錫鉱山の利権を獲得し、それを三井鉱山、日本鉱業、古河鉱業、石原産業で4分割している(p52) ・シンガポールからイギリスを追い払った後に乗り込んだ企業は数多く(p56,57にリスト)、ほとんどが現存する企業(p58) ・山下将軍は、マレー半島住民代表を集めて、期限を定めて5000万ドル(当時流通していた通貨の半分)を提出するように命じている、それができない場合は横浜正金銀行から借金させた(p63) ・三井物産は、台湾では砂糖、旧満州では大豆と綿花、フィリピンでは綿花を、日本軍の力で強制した、これに抵抗したフィリピン人は日本軍により殺された(p72) ・アジアの人々の犠牲者は、戦闘により死亡したよりも、日本の侵略に対して戦ったことによる犠牲者の方が圧倒的に多い(p78) ・薩摩藩は、琉球王国を植民地的に支配すること(沖縄の砂糖を独占的に安く買い、大坂で何十倍もの価格で売る)で、幕府から溜まっていた借金を瞬く間に返却して、最も裕福な藩になった(p87) ・労働者の安い賃金と長時間労働、親企業に系列化された下請け企業の存在が、欧米にはまねできない条件を利用して日本企業が勝利した(p146) 2011年9月10日作成
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