商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 理論社 |
発売年月日 | 2004/07/01 |
JAN | 9784652038437 |
- 書籍
- 児童書
みずはつめたい
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みずはつめたい
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3.7
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「辻征夫詩集 みずはつめたい」 著者 辻征夫(つじゆきお) 選者・著者 水内喜久雄 絵 大滝まみ 図書館の児童書コーナーの詩集が並ぶ棚で。 装丁・挿画が可愛らしいんです。 開いてもくじを見ると、表題作などの中に、 「ボートを漕ぐ不思議なおばさん」 「おじさんがいっぱい」と気...
「辻征夫詩集 みずはつめたい」 著者 辻征夫(つじゆきお) 選者・著者 水内喜久雄 絵 大滝まみ 図書館の児童書コーナーの詩集が並ぶ棚で。 装丁・挿画が可愛らしいんです。 開いてもくじを見ると、表題作などの中に、 「ボートを漕ぐ不思議なおばさん」 「おじさんがいっぱい」と気になるタイトルが、、、 これは、借りるしかない!と。笑 他にも詩の中におじさんやおばさんが登場するものがあります。なんだか好きです。 「おじさんがいっぱい」から、抜粋しながら 少しだけご紹介させてください。 『 眠れないときには おばさんのことを考える ぼくにはまだ会ったことのない 不思議なおばさんがいて おばさんはいつもぼくのそばの どこかにいるらしい ー おばさん おしえてよ おばさんは 眠れないときには どうしているの ー ぼくの頭のなかに 変なおじさんがいっぱい出てきて なおさら眠れない』 面白くて子どもと笑ってしまいました。 この本には、語りかけるような優しい詩が 詰まっています。 他に「蟻の涙」には(一部抜粋)、 『ー この世界にひとりしかいない 今このページを読んでいる あなたがいちばんききたい言葉はなんだろうか ー たとえばこういう言葉をききたいと思う 君がどんなに悪人であり俗物であっても 君の中に残っているにちがいない ちいさな無垢をわたしは信ずる それがたとえ蟻の涙ほどのちいささであっても おれがあるかぎりきみはあるとき たちあがることができる 世界はきみが荒れすさんでいるときも きみを信じてる』 真っ直ぐな優しさに、著者の強さも感じます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「辻征夫さんをたずねて」より。 (小学生時代の話の中で、)「毎週、ほとんど作文の時間がありました。三十人ぐらいのクラスで、書き上がったものから、運動場であそんでいいことになっていました。詩でも作文でもきいので、早く書き上げることのできる詩にしました、いつも。」 とありました。自然な成り行きが詩との出会いだったようです。 また、本格的に詩に触れたのは、中学二年生のときで、国語の先生で熱心な方がいらっしゃって、北原白秋『落葉松』、上田敏訳・ヴェルレーヌ『落葉』、島崎藤村『初恋』など、わら半紙いっぱいに書いてくれたそうです。(ガリ版) 素敵な先生との出会いなど、水内喜久雄さんの解説で辻征夫さんのことを知ることができます。
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辻征夫さんの詩集ですね。 辻征夫(1939~2000)が亡くなられてから編まれた詩集です。 2004年7月発行。 選者・著者は水内喜久雄さん(1951年生まれ)作家、詩編の編集等をされています。 可愛らしいイラストも添えられていて、作者は大滝まみさん(1963年生まれ)イラストレ...
辻征夫さんの詩集ですね。 辻征夫(1939~2000)が亡くなられてから編まれた詩集です。 2004年7月発行。 選者・著者は水内喜久雄さん(1951年生まれ)作家、詩編の編集等をされています。 可愛らしいイラストも添えられていて、作者は大滝まみさん(1963年生まれ)イラストレーターの方です。 辻征夫さんの詩は、受け入れやすく、端的な表現で、メルヘン的でもあり、ロマンにあふれています。どきりとする言葉がさりげなく籠められています。 学生の方でも親しみやすく、最初に手にする詩集には善いかもしれませんね。 雲 男の子っての どうして雲が好きなのかしらね おばさん 小さな女の子だったけど こんなおばさんになってもまだ わからないわ どうしてなの? 雲ってね おばさん 未来とか とおい国とか まだ出会わないひととか なんだかそういうものを感じさせるんだ だから雲を見ながら 夢を見ているのさ男の子はー それじゃ小さな雲だったら 小さな夢なの? 大きな大きな黒雲だったらどうなのよ 嵐が来るかも知れないのにー どうしても わかってくれない 白い ふっくらした 雲みたいなぼくのおばさん 立ちどまる 立ちどまる ことが好きに なった どこか そのへんに 立って動かず たとえば朝 八時五十数分の 瞬時の世界を感じている 眼を閉じると 見えない星 ドセイも ちかづいてくる 親近感がすごく持てる詩人さんです。 水内喜久雄さんのエッセイも辻征夫さんの人柄をよく紹介されています。 優しさに浸りたいたい、ゆったりしたい時に読みたい詩集ですね。
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ブク友さんにコメントをもらい、もうちょっとだけ辻征夫さんの詩を知りたくなった。 雨が好きな私はやはり『雨』のタイトルを真っ先に見つけた。 雨 耳たぶにときたま 妖精がきてぶらさがる 虻みたいなものだが 声は静かだ...
ブク友さんにコメントをもらい、もうちょっとだけ辻征夫さんの詩を知りたくなった。 雨が好きな私はやはり『雨』のタイトルを真っ先に見つけた。 雨 耳たぶにときたま 妖精がきてぶらさがる 虻みたいなものだが 声は静かだ 「いまなにをしているの?」 街に降る雨を見ている テレビは付けっぱなしだが それはわざとしていることだ だれもいない空間に 放映を続けるテレビ 好きなんだそういうものが (それでなにをしているの) 雨をみている 雨って ひとつぶひとつぶを見ようとすると せわしなくて疲れるものだ 雨の向こうに 工場とか 突堤の先の あれはなんだろう 流木だかひとだかわからない たとえばああいうものを見ながら雨のぜんたいを 見ているのがいちばんいい そういうものなんだ 雨は (むずかしいにね ずいぶん) 何気ないことはなんだってむずかしいさ 虻にはわからないだろうけど (妖精よ あなたの雨の ひとつぶくらいのわたしですけれど) 少しづつページを繰っているのだが、昨日読んだ『蟻の涙』に心惹かれた。”雀の涙”ってきいたことあるけれど、”蟻の涙”とは! 辞書によると類表現に”蚊の涙”というのがあった。それより”蟻の涙”の方がずっと素敵。 蟻の涙 どこかとおくにいるだれでもいいだれかではなく かずおおくの若いひとたちのなかの 任意のひとりでもなく この世界にひとりしかいない いまこのページを読んでいる あなたがいちばんききたい言葉はなんだろうか 人間と呼ばれる数十億のなかの あなたが知らないどこかのだれかではなく いまこの詩を書きはじめて題名のわきに 漢字三字の名を記したぼくは たとえばこういう言葉をききたいと思う きみがどんなに悪人であり俗物であっても きみのなかに残っているにちがいない ちいさな無垢をわたしは信ずる それがたとえ蟻の涙ほどのちいささであっても それがあるかぎりきみはあるとき たちあがることができる 世界はきみが荒れすさんでいるときも 君を信じている 身体が不調続きの日々、不覚にも涙が零れそうになった。
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