商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2004/07/15 |
JAN | 9784062748216 |
- 書籍
- 文庫
秘すれば花
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秘すれば花
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3.8
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作者の初めてのエッセ…
作者の初めてのエッセイ集で四季の話や旅の話や友人たちとの交流などを率直に語っている。
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渡辺淳一 「 秘すれば花 」 風姿花伝 の 能楽論のうち 「花」に重きを置いて わかりやすく解説した本。 「花」は 観客が感じるもの、飽きずに見てられる役者の雰囲気といったところ。「秘すれば花」に隠された 観阿弥の戦略思考の高さ、風姿花伝 全般に見られる 観客重視のスタンスに...
渡辺淳一 「 秘すれば花 」 風姿花伝 の 能楽論のうち 「花」に重きを置いて わかりやすく解説した本。 「花」は 観客が感じるもの、飽きずに見てられる役者の雰囲気といったところ。「秘すれば花」に隠された 観阿弥の戦略思考の高さ、風姿花伝 全般に見られる 観客重視のスタンスに驚いた。観阿弥 のエンターテイメント力 凄い 芸能の本質=寿福増長=人々の気持ちをやわらげ 心地よい感動を与え 生きる喜びを味わい 寿命を長引かせる 真の花とは *才能と努力による *能を演じるときに 自ずと出てくる華やかさ、艶やかさ *時を超えた本当の力 *飽きさせない工夫 *人々に思いもよらない感動を与える 「秘すれば花は 過酷な戦いを生き抜く最大の戦略である」 強い役者とは いくら見ても 見飽きない役者=絶えず観客の目を惹きつける役者 序破急の法則とは はじめ緩やか→テンポ早く変化→急調子で終わる
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・「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず。」秘することによって、花の美しさは一段と映える。これをわきまえることが、花を考えるにあたっての大事な要点。現在「秘すれば花」とは、あからさまになにごとも表に出さず、控えめにしておくほうが、花の美しさは増す、という地味で謙虚な生き方や人間...
・「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず。」秘することによって、花の美しさは一段と映える。これをわきまえることが、花を考えるにあたっての大事な要点。現在「秘すれば花」とは、あからさまになにごとも表に出さず、控えめにしておくほうが、花の美しさは増す、という地味で謙虚な生き方や人間への賛辞のように受け止められているが、観阿弥ははっきりと、その種のものは隠すことによって価値が上がり、効果も増すと言い切っている。あからさまにしてしまうと価値がなくなるからたいしたものではないと思う人間は、本当の秘する効果を知らない。 ・初めから「珍しい花だ」とわかっていると、みな珍しい物を見られると期待するから、そういう状況で珍しいことをやっても、観客にはさほど響かないことになる。そうではなく、あらかじめ、珍しい花を見られると気付かぬ状態で、突然、珍しい花を見せると、観客はおおいに驚き、感心し、それこそ舞台の花、そのものになるはず。要するに、人々に思いもよらぬ感動をかきたてるようにやるのが大事で、それこそが花というもの。思いがけない感動を与えるためのテクニックとして、秘しておくことが重要なのだ。 ・観阿弥は他の座や芸人に勝つことを、戦場での勝利と同じように、厳しく考えていた。あとでわかってしまえば他愛ないことでも、そのときわからないのでは意味はない、といいきるところは、いかにも観阿弥らしい感銘さである。 ・何か一つ、秘伝となるものを我が家に残しておく。とくに忘れてはならないことは、表に現わせないのはもちろん、こんな秘密を知っているという気配さえも、他人に見せてはいけない。もしそれが他人に知れると、敵方が油断せず警戒するようになるから、逆に敵に注意を与えることになってしまう。そうではなく、相手に油断させておくと、こちらが勝つことなたやすくなる。人に油断をさせて勝利を得るのは、これこそ、秘密にした結果の、大きな効用というものである。 ・「秘すれば花」は、過酷な戦いを生き抜くための、最大の戦略でもあった。秘事の伝授は中世以降、日本の芸道の世界で引き継がれてきた独特の方法で、いまのように職業への門戸が開かれず、世襲制度で家の保持を第一義とした当時の社会では必要不可欠な方法でもあった。観阿弥はそれを冷静に見詰め、その要点と必要性を適確に解説し、記録に残した功績は見事といわざるをえない。
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