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中国行きのスロウ・ボートRMX ダ・ヴィンチ・ブックス
935円
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | メディアファクトリー |
発売年月日 | 2003/07/17 |
JAN | 9784840108348 |
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中国行きのスロウ・ボートRMX
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中国行きのスロウ・ボートRMX
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商品レビュー
3
2件のお客様レビュー
めちゃくちゃおもしろい。そして非常に前向きな力をもらえる。正直そんなに期待せず読んだのでとても得した気分です。古川日出男はずっと前に読んだとき、イマイチかなあ、とおもったんですが、印象を改めました。もっときちんと読んでみなければ。 さて、内容なんですけれども、トリビュート作品って...
めちゃくちゃおもしろい。そして非常に前向きな力をもらえる。正直そんなに期待せず読んだのでとても得した気分です。古川日出男はずっと前に読んだとき、イマイチかなあ、とおもったんですが、印象を改めました。もっときちんと読んでみなければ。 さて、内容なんですけれども、トリビュート作品って文学ではあまり見たことのない面白い企画だというのがまず一点。村上春樹の熱心な読者という自負があるため、すこし構えながら読み始め、前半部分では文体面での模倣レベルを考えたり散りばめられたオマージュを拾ったり、村上春樹にあってここにはないものとその逆にここにあって村上春樹にないもの、を探したりするのに忙しかった。後半からは古川日出男節に乗せられそういう考察を放棄して思い切り楽しめました。結論から言えば、春樹の文体はとりわけ初期のものであれば模倣するのはそんなに難しいことではないためか、まあそれらしくなっている。ただわたしが春樹の特徴のひとつだと感じている「躊躇」あるいは「判断の保留」の要素はあまり見られない。古川日出男の用いるイメージと主題は村上春樹のものより至極単純であり、わかりやすく、陽性の力を持っている。どちらが良い悪いではなく、個性なのだとおもう。つまり当然のことですがトリビュートという形ではあるが古川日出男の個性がきちんとある、というのが二点目。村上春樹が用いるイメージよりも、現代的サブカル要素の強く、より原色に近いイメージを古川日出男は用いる。わたしの言うイメージは、エピソードやメタファーと言ってもいいかなあ。三回東京から脱出を試みて結果失敗する、そのエピソードがどれもめちゃくちゃに面白い。端的に言えば「脱出」は原理的に不可能であり、月並みな表現になりますがわたしはどこに行ってもわたしでしかない。だから宮古島へ脱出した彼女のその後も描かれず、そもそもひとりで脱出しなければならかった時点で不穏な予感を漂わせる。脱出不可能性を抱え込みながら「ここではない何処か」を願わずにはいられない哀しみを力技でユーモラスに見せていて、すごく良いとおもった。この力技はエピソードの語り方によるものなので、観念的な「出口」についての文章はいらないんじゃないか。イメージを重ねていくだけの方が、単純なつくりにはなるけれど良かったんじゃないかなあ。ともかく、わたしがなによりも好きだと感じたのはそのグロテスク・リアリズムのあり方。喜劇的悲劇。悲惨なのに笑える、その矛盾、多義性。最高だ。世界の不条理、理不尽な暴力性は現代小説のもはや前提になっているとおもいますが、ポストモダン的ニヒリズムに陥ることなく、いかに主体的に対決するかというのがおそらく現代の課題であって、それをきっちり引き受けて書いているこの小説はだからとても素晴らしい。すきです。
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私は基本的に村上春樹さんとチルドレンの方々の文章は苦手だ。 言葉が嘘くさく軽薄で不必要にカタカナ交じりだから リアルさを追求したいのかなんなのか理解できないためです。 これはあくまで私の好みの問題で、決して村上春樹さんたちが悪い作家だとは思っていません。 そんな私でもこの小説は、...
私は基本的に村上春樹さんとチルドレンの方々の文章は苦手だ。 言葉が嘘くさく軽薄で不必要にカタカナ交じりだから リアルさを追求したいのかなんなのか理解できないためです。 これはあくまで私の好みの問題で、決して村上春樹さんたちが悪い作家だとは思っていません。 そんな私でもこの小説は、途中でいらいらすることはあったものの、比較的楽しく読めた。 おそらく言葉のテンポがとても良いためだろう。 ただし、テンポに乗って読み進めてしまいそれで満足してしまう。精読する気にはなれない。 最終章は爽やかで生命力に満ち溢れていて、素直に面白かった。
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