商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 2003/01/20 |
JAN | 9784166602971 |
- 書籍
- 新書
旧石器遺跡捏造
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旧石器遺跡捏造
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2000年に発覚した旧石器遺跡の捏造について、ジャーナリスト河合信和氏がまとめた書。捏造が起こった経緯や発覚してからの考古学界の動き等が第三者視点でまとめれている。 学界の多くの人が信じていたものがガタガタと崩れていく様は恐ろしい。研究生活がほとんどパァになった人も多くいて、そ...
2000年に発覚した旧石器遺跡の捏造について、ジャーナリスト河合信和氏がまとめた書。捏造が起こった経緯や発覚してからの考古学界の動き等が第三者視点でまとめれている。 学界の多くの人が信じていたものがガタガタと崩れていく様は恐ろしい。研究生活がほとんどパァになった人も多くいて、その人たちを思うと、いたたまれない気持ちになる。 しかし考古学界が妄信的になっている傍ら、人類学界は冷静だった様子も知れる。学問は自分の専門の殻に閉じこもりすぎるのは危険だと痛感できる。多様な観点を持つことの大切さを肝に銘じたくなる。 「どうして捏造が起こったのか、そして野放しになっていたのか」という分析は、例えばSTAP騒動や、三菱自動車の不正問題などにも共通するところがあると思う。 著者は白熱するマスコミ報道合戦にも問題があったと言及しているが、およそ15年経った今でもその反省は生かされきれていないと感じた。 科学分野のニュースは裏取りがしっかりされていないのにインパクト重視で記事になってしまうことが、今日でも多い。 科学界の人やマスコミ界の人は読んで損はない本だと思う。
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二〇〇〇年に発覚した旧石器遺跡捏造事件。 それまで“あった”とされていた歴史が一夜にして消滅した、考古学史上類を見ない事件であった。 本書で明らかにされているように、その手口はいたって単純であった。にも関わらず、なぜプロ(学者・学会)は「捏造」を見抜けなかったのか。筆者は、その...
二〇〇〇年に発覚した旧石器遺跡捏造事件。 それまで“あった”とされていた歴史が一夜にして消滅した、考古学史上類を見ない事件であった。 本書で明らかにされているように、その手口はいたって単純であった。にも関わらず、なぜプロ(学者・学会)は「捏造」を見抜けなかったのか。筆者は、その原因の一つに、学会での「論争」の存在を指摘する。 当時の学会では、前期旧石器遺跡の存否をめぐる論争があり、藤村の「捏造」遺跡は、論争に決着をつける遺跡として、正に「時代の雰囲気」が求めていたものであったと指摘する。本書の「(不審点について)目には見えていたが、脳が見ていなかった」、「見えないものも、信じ込めばたやすくそれらしく見えてしまう」(捏造は不可とされた埋納遺構は、結局は自然地形の誤読と結論付けられた)という言葉は印象的である。 歴史が書かれるにあたっては、歴史学者・考古学者という“媒体”を必要とするが、それは無味乾燥なものではなく、良い意味でも悪い意味でも、様々な影響を受ける存在である。今回の事件は、論争の決着という思惑の下、その媒体が悪影響を受けた事件と言うことができよう。 もちろん、欠点だらけの「捏造」を見破れなかった責任は問われて然るべきである。しかし、この事件を「当時の学者がバカだった」と結論付けるのではなく、他分野でも類似の事件は十分に起りえる―学問における学者という“媒体“の危うさを読み込むことができるのではないだろうか。
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