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ホームレス人生講座 中公新書ラクレ
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ホームレス人生講座 中公新書ラクレ

風樹茂(著者)

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ホームレス人生講座 中公新書ラクレ

814

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社/
発売年月日 2002/11/09
JAN 9784121500700

ホームレス人生講座

¥814

商品レビュー

3.3

4件のお客様レビュー

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2019/07/22

何人かのホームレスへのインタビューを通して、ホームレスになる要因を考察した本。2002年に出たちょっと古い本だけど、内容は古びてない。近頃問題になっている無敵の人や、ひきこもり、自殺、独居老人と孤独死、孤独な子育てと虐待、といったあらゆる孤立の問題と根元で共通する部分がある。 ...

何人かのホームレスへのインタビューを通して、ホームレスになる要因を考察した本。2002年に出たちょっと古い本だけど、内容は古びてない。近頃問題になっている無敵の人や、ひきこもり、自殺、独居老人と孤独死、孤独な子育てと虐待、といったあらゆる孤立の問題と根元で共通する部分がある。 人々は戦後になって面倒くさい地縁・血縁よりも物縁(金やモノとの縁)を求めて都会に出た。地縁・血縁の代替として社縁(会社との縁)があるけど、今は社縁も薄くなりつつある。社縁を失った上で家族縁も失うと人は孤立し、縁がなくなることでアイデンティティも消失して気力を失いホームレスになる可能性が高まる。外国の場合は最後には宗教縁が救いになるけど、日本にはそれもほとんどない。といったことをインタビューを通じて考察している。 まったく他人事ではないから恐ろしい。地縁・血縁を捨てて物縁を求めた、という「縁」に着目した表現はなるほどなと思った。縁とアイデンティティを失った人は自分が何者かわからなくなる。そして貧富差の拡大によって物縁を失うことに怯えている。戦後の平和教育を受けた中では日本という国にアイデンティティを求めることも難しい、と書いてる箇所は興味深い。ここには書いていないけど、薄くなった縁とアイデンティティを無理やり国に求めた結果がネトウヨ的なことになるのではないか?昔から続く縁を失い、物縁を失うことに怯える人々が、縁とアイデンティティを国に求めるのは日本だけではなく、おそらく世界共通ではないか。 運が良い人は、自分から動かなくとも予め縁に恵まれている。強い人や優秀な人は、自分で何かを成し遂げたり、何らかの意義や信念を見出したりすることで縁とアイデンティティを自ら確立できる。「自分さがし」は、縁とアイデンティティを求めた行動だろう。しかし、個人主義に基づいた縁とアイデンティティの確立は、誰にでもできることじゃないと思う。大多数の人は家族縁を含めた「普通」であること、人と違わないことにアイデンディティを見出しているのではなかろうか。「普通」からほぼ脱落しているとはいえ、それでも「普通」にすがろうとする部分が自分にはある。 いろいろ考えさせるいい本だった。神戸酒鬼薔薇事件の犯人の言う「透明な存在」や、「限りなく透明に近いブルー」「なんとなくクリスタル」を挙げて、縁とアイデンティティの消失を「透明になる」ことと捉えたのも興味深かった。しかし、本のタイトルが残念。この本は縁を喪失して孤立した結果ホームレスになるという、社会構造も含めた問題を書いているのだから、「ホームレス人生講座」というタイトルは違うと思う。

Posted by ブクログ

2011/11/10

普段あまり考えもしない「縁」の大切さが深く身に染みて伝わってくる。 ホームレスになる理由は人それぞれにある。ここではそのホームレスとして生活する人たちをいくつか紹介している。中には東大大学院を卒業した人なども。 多くに共通するのが、孤独であるということ。それはつまり頼るべき人、戻...

普段あまり考えもしない「縁」の大切さが深く身に染みて伝わってくる。 ホームレスになる理由は人それぞれにある。ここではそのホームレスとして生活する人たちをいくつか紹介している。中には東大大学院を卒業した人なども。 多くに共通するのが、孤独であるということ。それはつまり頼るべき人、戻るべき場所が無いということを意味する。それはまた「無縁」という言葉にも置き換えられる。地縁、血縁、宗教縁、婚姻縁など社会との縁が切れ無縁無一文になったとき、多くの人はホームレスになるという。それでも、若いうちや働くうちは会社との関係があるが、その縁すら失えば誰もがホームレスへの道を辿る可能性だってある。 不況で多くの人が仕事を失う時代、無縁の人々は簡単にホームレスになり、そして将来、その増加が日本列島を覆うことにもなるだろう。 無縁社会という言葉が広がる今、「縁」の希薄化こそがホームレスへの一歩となる。ホームレスでも自由に楽しく生きている人もいるかもしれない。しかし大半は未来への希望すら失いながら、苦しい現実を生きている。 幸か不幸か私たちは今、その傍観者に過ぎないが、それは決して他人事の話でもないような気がしている。

Posted by ブクログ

2010/02/22

「縁(えん)」が希薄になり、「存在」が透明になるに従って、ホームレス曲線は右上がりになる・・・・と要約できそう。 ホームレスは決して居心地のいいものではない。 だから抜け出る必要もある。だが地縁、血縁を断たれたものは結局、吹きだまってしまうのかもしれない。

Posted by ブクログ

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