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宮大工 千年の知恵 語りつぎたい、日本の心と技と美しさ 祥伝社黄金文庫
597円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 祥伝社/ |
発売年月日 | 2002/10/20 |
JAN | 9784396313050 |
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宮大工 千年の知恵
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商品レビュー
4.3
5件のお客様レビュー
小さい頃から歴史が好きだった私は、古い建物を見るのが大好きである。とは言っても、京都や奈良に頻繁に行くことはできないので、せいぜい関東近辺、鎌倉に足繁く通うことくらいしかできないのだが。 古い建物を眺めていると、その建物が何百年も経った今も残っているのが、実に不思議に思えて...
小さい頃から歴史が好きだった私は、古い建物を見るのが大好きである。とは言っても、京都や奈良に頻繁に行くことはできないので、せいぜい関東近辺、鎌倉に足繁く通うことくらいしかできないのだが。 古い建物を眺めていると、その建物が何百年も経った今も残っているのが、実に不思議に思えてくる。当時、その建物で生活していた人たちのことを思うと、申し訳ないような切ないような、実に複雑な気分だ。 私は、そうやって古い建物が残っているのは、それが単純に木造建築だからだと考えていたのだが、この本を読むとそうではないのが分かる。いにしえの職人さんたちが木1本1本の特徴を生かしながら、建物が長持ちするように、そして美しく見えるように、様々な知恵をしぼった結果生み出された奇跡なのである。 前半、軒が反っている軒反りの話が紹介されている。言われてみれば、太い木材をどうやって美しく反らせたのか、それだけでも不思議である。また、反った軒に対して、他の木材をどう組み合わせていくのか、それだってかなりの難問だ。反らした部分が不自然に見えないように、垂木と垂木の間隔をあえて等間隔にせず、少しずつずらしているという。そうした美へのこだわりはすさまじい。 この本を読むと、宮大工という仕事の奥深さを知ると共に、古い建物を眺める楽しみが増えそうだ。
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日本の家は紙と木でできている。 だから日本建築は長持ちしないし、火事になったらひとたまりもない。 だけどきちんと管理して、痛んだところを修復しながらその姿をとどめている建築物だって、もちろんあるのだ。 木の国日本だからこそ生まれた、木造建築の知恵と技術。 明治に一度捨てようとしたその技術が、最近見直されている気がする。 そしてそれは、とても大切なことなのではないかと思う。 そもそも日本建築では、ほとんど釘を使わない。 木と金属は相性が悪い。金属の錆が木を傷めるから。 ところが古来より使われている和釘は、鎌倉・室町時代のものでも錆がほとんどなくてしっかりしているという。 今の釘は、もってもせいぜい50年。100年もったという例がない。 檜皮ぶきの屋根に使うのは竹の釘。 機械で作った竹釘は、形が整いすぎてすぐに抜けてしまうから、人間の手で作らなければならない。 けれど需要がほとんどないために、今その技術を持っているところは全国に一か所しかないという。 地震大国日本。 地震でも崩れないようにと頑丈に締め付け、筋交いを入れ、鉄骨を使った建物を作ってきた。 だけど紙と木で造られた五重塔。 これが結構揺れに強い。 釘を使わず、木を組み合わせることによって造られた建物は、強い力を受けた時に力を逃がす遊びの部分が生まれる。 外れることがないくらいしっかりと、しかしいざという時に遊びができるくらいの余裕ができるのが木造建築のいいところ。 実際今の建築物も、耐震から免震構造へと基準は変わっている。 余談だけど、昔は七重塔もあったらしいが、現存しているものはない。 五重塔が木造建築としては限界なのではないか、と。 そういうところもいいなあと、ちょっとおセンチに思ったりして。 国家事業として行われた国分寺建立が衰退したのは、檀家がいないから、ではないか。 人の心の支えがないと、お寺と言えども荒れてしまうのではないかというのは、傾聴に値する意見と思う。
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この本が家にあったから手に取ってみたらとても良い本でした。息子が中学校のころに読んだ本で部屋かたづけて処分するために出してたらしい。 著者は文化財の修理を専門にしてるばりばりの宮大工さんで、国宝を含む多くの文化財再建の経験を通して学んだ、鎌倉、室町等の中世の美的センスをベースとし...
この本が家にあったから手に取ってみたらとても良い本でした。息子が中学校のころに読んだ本で部屋かたづけて処分するために出してたらしい。 著者は文化財の修理を専門にしてるばりばりの宮大工さんで、国宝を含む多くの文化財再建の経験を通して学んだ、鎌倉、室町等の中世の美的センスをベースとした卓越した木造建築技術について解説している。江戸時代以降は効率化、標準化がはかられ、気候等の特徴に適合して育まれた、日本古来の個々の木の個性を生かして建造物を1,000年持たす加工技術などがすたれてきてしまったうえに、明治以降の西洋崇拝のせいで完全に技術継承が断たれてしまったらしい。 三浦しをんなど、お仕事系の小説でさまざまな未体験の世界を、あたかもその場にいるみたいに疑似体験させてくれるのも好きだけど、文才のあるその道の専門家が本人の専門領域について書いたものの方がやっぱり深いし、本物感が半端ないです。池上彰のニュース解説も自分の専門技術について解説してるのを聞いたら結構、上っ面で薄っぺらい解説だなーと思ったりしたし、やっぱり弁のたつその道のプロによる解説のほうが良いんだろうなあと思ったりします。 技術解説のほかにも、資本主義社会の中での文化財を維持していく難しさや、一般的な技術取得の姿勢等、周辺分野に関する知識と考察が深くてすごく参考になります。 最近は過剰反応社会といわれるように、人権思想やソーシャルネットワーク等のおかげで少数派保護意識が強くなりすぎ、少数派の意見が必要以上に大きく聞こえすぎて、モンスター系がはびこってるのがなんだかなーって気がしてたけど、文化財保護についても受益者負担の論理ではうまくいかないことを理解しました。 それでも、やっぱり資源の総数が見えてしまっている世の中では、昔の芸術家の保護育成と同じように、競争原理にしたがって資源配分を受けた勝ち組の人の中から意識の高いパトロンを見つけてやっていかざるを得ないと思ったりしました。
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