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2026/01/14

『白洲正子自伝』(1994年、新潮社)と『両性具有の美』(1997年、新潮社)のほか、エッセイを収録しています。 『白洲正子自伝』は、晩年の著者がみずからの生涯を振り返った連作エッセイです。祖父の樺山資紀の思い出や、少女時代におけるアメリカでの生活、夫の白洲次郎との出会い、小林...

『白洲正子自伝』(1994年、新潮社)と『両性具有の美』(1997年、新潮社)のほか、エッセイを収録しています。 『白洲正子自伝』は、晩年の著者がみずからの生涯を振り返った連作エッセイです。祖父の樺山資紀の思い出や、少女時代におけるアメリカでの生活、夫の白洲次郎との出会い、小林秀雄と青山二郎との交流などを経て、最後は作家としての著者を決定づけたともいえる西国三十三ヵ所観音巡礼についての叙述で締めくくられています。 『両性具有の美』は、男性の同性愛にかんするエッセイ集です。冒頭でとりあげられるのは、ヴァージニア・ウルフ原作の映画『オルランド』で、「両性具有とは、人間が男女に分れる前のかたち」だと著者はいい、たんに中性的というのではない、力強さ、男らしさと、やさしさ、美しさを兼ねそなえた「精神的な理想像」だと述べられています。さらに著者は、日本の古典文学のなかに見られるエピソードや、南方熊楠、世阿弥などに題材を求めて議論を進めており、現代的なテーマではあるものの格調の高さはうしなわれていません。とはいっても文学研究ではないので、たとえば五味文彦の研究書である『院政期社会の研究』をとりあげて後白河法皇の男色にまつわるエピソードを参照しつつも、著者自身の自由な叙述が展開されています。なお、同様のテーマをあつかったもので、もっと肩の凝らないエッセイとしては、本巻に収録されている「女の見た男色の世界」があります。

Posted by ブクログ