商品レビュー
4.3
18件のお客様レビュー
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高村薫さんの小説に合田雄一郎シリーズというのがあるが、それと「福澤彰之シリーズ」が交差する。 この小説、今までの高村ものと全然毛色が違うんですな。第一、事件が起こらない。人間の内面に深く切り込む新境地、というように説明されているが、確かにそういう野心が感じられる。 「晴子」というのは母である。 「母と息子は本質的にわかり合えるのか?」 それがテーマのように思われる。 息子彰之は、大学を出てから遠洋漁船に乗り込んでスケソウダラとかを獲っている。 息子に、晴子は長い長い手紙を送る。 その手紙…青森・野辺地から北海道・初山別などを舞台にした母の少女時代から息子を産む辺りまでの回想と、現在(といっても昭和五十年頃)の北方の荒れ海を舞台にした息子を取り巻く人物や心象風景とが、交互に描かれる。 母は鰊漁に湧く北海道や戦争に向かう日本を背景に、一方息子は労働争議や学生運動を背景に(双方の空気感は少し似ている)、それぞれの生を生きる。時に女として、時に男として。 二人の時空の隔たりは、物語を追うにつれ次第に近づいていく。ラストシーンでクロスするのかと思っていると、二人のラインは微妙にすれ違ったまま終わる。 母と息子はクロスしない…それが作者が描きたかったポイントらしい。 作者が描きたかったといえば、そもそも作者の根元的な動機は、母の手紙の舊仮名遣ひや青森弁(南部弁か)を書きまくることにあった気もする。 なんにせよずっしりと重い作品であった。
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結構なボリュームがある2002年の作品、母から息子への書簡の形で家族の歴史が浮かび上がってくる形式。青森の町を舞台に大正生まれの母がさまざまな思い出をかなり詳しく長文に何十通もしたためるけど奉公から入った女性にしては教育レベルの高い内容ですね。
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遠洋漁船乗組員・彰之に宛て、母・晴子が書き綴った手紙の形をとった小説。冒頭から退屈で、読みづらく途中で挫折しました。晴子は大正9年生まれと父と同年生まれであり、晴子及びその両親の生活ぶりに自らの祖父母、父母の歩みを見ることが出来そうに思いました。改めて読みなおしたいと思います。
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