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私の体験的ノンフィクション術 集英社新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社/ |
発売年月日 | 2001/11/15 |
JAN | 9784087201178 |
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私の体験的ノンフィクション術
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私の体験的ノンフィクション術
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日本の津々浦々を歩いて、自分から声をあげることのない人びとの声を拾いあげた民俗学者の宮本常一への憧れから、著者みずからのノンフィクション作品を書く方法を学んできたことが、これまでの仕事を振り返りつつ語られています。 戦後の経済成長の裏で時代の流れから取り残された人びとの世界に定...
日本の津々浦々を歩いて、自分から声をあげることのない人びとの声を拾いあげた民俗学者の宮本常一への憧れから、著者みずからのノンフィクション作品を書く方法を学んできたことが、これまでの仕事を振り返りつつ語られています。 戦後の経済成長の裏で時代の流れから取り残された人びとの世界に定位し、そこから戦後の日本社会を相対化するという著者の視線が、どのように鍛えあげられてきたのかということがよくわかります。 個人的には、著者のノンフィクション作品に大きな魅力を感じているのですが、その一方でこうしたやり方に限界があるということも感じます。ずっと昔、朝日新聞の書評欄で、ソフトバンクの孫正義の評伝『あんぽん』(小学館)について、佐々木俊尚が書評を書いていました。正確には覚えていないのですが、佐々木はその書評のなかで、著者はITに革命を起こした孫正義の「分からなさ」を、「在日コリアン」という彼の出自に求めようとしていると指摘していたように記憶しています。 しかし、そうした戦後日本社会の裏から、表の華々しさを相対化するという見方は、孫が日本のIT界にどのような変革を引き起こしたのかを明らかにするのに、あまり適切ではないように思います。また、橋下徹大阪市長についてのスキャンダルのときにも、同じようなことを感じました。メディアを駆使して視聴者の政治参加の快感を増幅することでみずからの政治的な立場を築いてきた橋下の特質は、その出自によってではなく、彼を迎え入れた、「戦後」後の日本人のあり方から光をあてた方が適切ではないかという気がします。 とはいえ、著者のようなスタンスから時代の流れを見ていくことのはおもしろく、その仕事を著者自身が振り返った本書は興味深く読みました。
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佐野眞一が一気に嫌いになった。 先生のブログで紹介されていたので読んでみた。 佐野眞一の本は何冊も持っているが、読了したものは一冊もない。文章が単調でつまらない、と先生のブログに書いてある。 プロローグでは、佐野が触発されたという民俗学者の宮本常一が紹介されている。興味を持...
佐野眞一が一気に嫌いになった。 先生のブログで紹介されていたので読んでみた。 佐野眞一の本は何冊も持っているが、読了したものは一冊もない。文章が単調でつまらない、と先生のブログに書いてある。 プロローグでは、佐野が触発されたという民俗学者の宮本常一が紹介されている。興味を持つ。著書を買ってみる。単調でつまらない。 そういうことか、と1人納得する。 閑話休題。 まず、惹かれた文章を以下に。 「話し手の前に突然ノートを開けては、相手は絶対に本当のことをしゃべってくれない」 「いま誰もが求めようとしているのは、どんなに世の中が変わろうと、変わることのない人間の姿ではないか」 「日本と日本人のわれわれはどこから来て、どこに行こうとしているのか。」 「私は「小文字」だけで「世界」を描くことがノンフィクションの最大の要諦だと思っている。それはいいかえれば、相手の「語り口」だけで「情景」を浮かびあがらせるということである。地の文はあくまで「台詞」を浮き立たせるためのもので、なるべく簡潔な方がよい」 「社長、専務と対等に取材するハイセンスな仕事」 「現在一人勝ちをつづけるマクドナルドがあるかと思えば、いまや崩壊寸前のダイエーもあった。…よくある企業モノと差別化するため、売上高や経常利益といった経営の指標を示す数字は最低限しか使わない…そのかわりに誰でもわかる「小文字」の世界でこの巨大流通帝国の実態を描くこと、それにこれまでダイエーが誰にもみせてこなかった密室を覗いて読書に報告すること、その二つを心にきめた」 「個人と社会が情報を媒介にして、複雑にからみあった「いま」という時代を浮きぼりにするには、一つの分野を描くだけでは到底なしえない」 「「ゴミゼロ社会」がそんなにいいというのなら、ゴミを出したくても出せないほど経済的に破綻した北朝鮮は理想的な国家ということになるのだろうか…「ゴミゼロ社会」を性急に目指すのではなく、経済活動に伴って必然的に排出されるゴミというものをどう折り合いをつけながら生きていくのか」 「1自分だけの視点をもつこと2独自の切り口をみつけること3埋れていた人物を発掘すること、この三点がノンフィクションの最重要要素」 一方、不快にらさせる文章も多かった。 「文士でも気取っているのか、世の中が寝静まった真夜中でないと、インスピレーションが湧かないなどと気の利いたような台詞を吐く輩がよくいるが、私の経験からいわせてもらえば、そういう連中の作品はどこかひとりよがりで、やせている。「夜を味方」につけなけらば書けないような人間の文章は、所詮、ちょっとさわれば崩れる砂糖菓子のような文章でしかない」 とある。上から目線で人の批判をするのは読む者を不愉快にさせる。そしてこう続く。 「いまでも仕事場には自転車で通っている。自転車通いのよさは、…行き帰りの道中で思わぬインスピレーションが湧くことである。中国では昔から、霊感がやってくるのは馬上、厠上、枕上というのが通り相場となっているが、私の場合、さしずめ「輪上」ということにでもなろうか…」 先ほどインスピレーションの湧く湧かないで批判しておいて自らのインスピレーションはどえ湧くかを語り出し始めるので、一気に信用を失った。 以降もひねくれた文章が目立つ。 その矛先はマスコミ(新聞)だった。 あちこちでマスコミ批判が見受けられる。そして自分は違うという。 こんな文章も。 「ニューヨークに到着してすぐ買った発売直後のアメリカ雑誌に、この事件の衝撃を伝えていつまでも人の心に刻まれる写真が載っていた…この写真をとっさの機転で撮ったのは、間違いなくフリーのカメラマンだと思った。組織に属するカメラマンなら、デスクの顔がチラついて、どうしても「絵になる」写真を撮ってしまうものだからである。私はこの写真に、あらためてフリージャーナリストの重要さというものを感じた」 とある。しかし、フリーのカメラマンが撮った写真か確かめた形跡はない。組織に属するカメラマンを否定するのは勝手だが、確認もせずに批判しても説得力に欠ける。 本文中には自慢気に著作物がたくさん登場するのだが、中には面白そうなものもあったので、Amazonで購入しようとしたが、ことごとく中古本しかない。つまり絶版しているということだ。すなわち売れていないのである。本書も、2001年に初版を刊行後、増刷 した形跡はない。 佐野眞一は本当に真のジャーナリストなのか。
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ノンフィクションライターの著者が、自分の著書を例に、取材から執筆までの手法やノンフィクションの意義などを説く。たんなるノウハウ本ではなく、著者の経験や体験を交えつつの解説は、ノウハウ本の側面を持ちつつもまさにノンフィクションそのもの。 思わず引き込まれ、一気に読みきった。 読むと...
ノンフィクションライターの著者が、自分の著書を例に、取材から執筆までの手法やノンフィクションの意義などを説く。たんなるノウハウ本ではなく、著者の経験や体験を交えつつの解説は、ノウハウ本の側面を持ちつつもまさにノンフィクションそのもの。 思わず引き込まれ、一気に読みきった。 読むと、ジャーナリストの素養がまったくなそうな自分でも、文章を書いてみたくなる。 しかし若干、後半部分は大御所ならではの精神論が目についた。 自分それも含めて、十分に楽しめたのだが。
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