商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2001/12/20 |
JAN | 9784061495791 |
- 書籍
- 新書
民族とは何か
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民族とは何か
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世界が直面している民族をめぐる問題の根源に、思想史的ないし歴史的な観点から切り込んだ本です。 著者はまず、ケドゥリー、ゲルナー、アンダーソン、スミスらの民族主義についての考察を簡単に紹介し、しだいに民族主義の現実性を認めそれを内側から理解しようとする立場へとシフトしていく思想史...
世界が直面している民族をめぐる問題の根源に、思想史的ないし歴史的な観点から切り込んだ本です。 著者はまず、ケドゥリー、ゲルナー、アンダーソン、スミスらの民族主義についての考察を簡単に紹介し、しだいに民族主義の現実性を認めそれを内側から理解しようとする立場へとシフトしていく思想史の大きな潮流を描きます。次にウォーラーステインのシステム論的な立場からの議論が紹介されます。彼は、資本主義という世界経済システムの内での国家どうしの関係から民族意識の形成を説明しようとしました。著者は、こうしたウォーラーステインの議論が、16世紀ヨーロッパという時代的にも地域的にも限定された範囲でのみ妥当性を持ちうるものだと指摘しつつも、より歴史的な範囲を広げることで、民族主義の諸相に迫ろうとします。 こうして歴史的な考察へと議論の舞台は移り、ヘブライ人やドイツ人における民族意識の形成についての考察がおこなわれることになります。ヘブライ人の選民思想には、諸民族から成る世界という発想が含まれており、それゆえ民族意識の範型となりえたとされます。またドイツ人も、隣国フランスの革命やナポレオンの台頭といった状況に対応する中で、民族意識が形成されていったことが明らかにされます。さらに、20世紀におけるさまざまな民族問題や、近代日本における国民国家の形成にまで、著者の議論は及んでいきます。 萱野稔人の国家論や加藤典洋の敗戦後論などの妥当性を考えるための、思想史的な背景について知ることができたという意味で、個人的にはたいへん勉強になりました。
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私がこれを書いている今この時においても、世界のどこかで「民族」間の対立による戦闘が起こっているが、本書では、元共同通信記者が、「民族」とは何かを明らかにしようとしている。 本書で著者は、 ◆「民族=nation」という概念は、国籍を持った集団としての「国民=nationality...
私がこれを書いている今この時においても、世界のどこかで「民族」間の対立による戦闘が起こっているが、本書では、元共同通信記者が、「民族」とは何かを明らかにしようとしている。 本書で著者は、 ◆「民族=nation」という概念は、国籍を持った集団としての「国民=nationality」はもとより、生物学的な人種、血縁や地縁で結びついた「種族=ethnicity」とも違うもので、それは「事実」ではなく、歴史的に形成された「観念」である。然るに、nation-stateとは「国民国家」ではなく「民族国家」と訳されるべきものである。 ◆「民族」という概念が歴史に登場したのは、宗教改革においてローマ教会と争った英国が、自らを「選ばれた民」と考えたヘブライ人の作った古代イスラエルを範例として、「民族国家」という新しい国家モデルを誕生させたときであり、それまでは、個々人には、世界帝国と血縁や地縁で結びついた種族という概念しかなく、自分たちを「民族」として意識することはなかった。 ◆ここにおいて「民族」という概念には、1.世界は複数の政治社会によって構成され、2.そうした社会は競争するライバル関係にあり、3.その中で自分たちの社会は別格の地位を占めており、4.他の社会とのライバル関係が問題である限り自分たちの社会の構成員は地位と資格において全員が平等であるという認識が含まれる。 ◆「民族国家」となった英国が世界を圧倒する国家となったことから、「民族」が近代世界のキーワードとなり、20世紀には、第一次大戦後のウィルソンによる「民族自決」の提唱、第二次大戦後のアジア・中東諸国の独立、1960年代のアフリカ諸国の独立、そして1991年のソ連崩壊による旧ソ連邦共和国の独立が続き、「民族国家」モデルが世界に広まった。 ◆日本は未だ「民族国家」になれずにいる。明治の開国も太平洋戦争の敗戦も日本人を民族とするきっかけとはなり得たが、実際には、前者は明治維新というクーデターによってその機会を逸し、後者については、米国が準備した憲法を未だに戴き続け、人民の総意を表現する国家となっていないためである。 ◆今日、未だ世界帝国の面影を残す中国、他宗教・種族・言語のインド、イスラム世界等、「民族国家」モデルとは一致しない国もあるとはいえ、「民族国家」が国家形態の普遍的なスタンダードとなる過程が完了しつつあるのは間違いない。しかし、その瞬間に、世界は民族間の紛争や民族国家内の種族集団による分離独立運動に引き裂かれ始めているのは、「自分たちの社会の構成員は地位と資格において全員が平等である」という「民族」の概念の大原則が崩れつつあることが一因である。 と述べている。 緒方貞子氏は『緒方貞子~難民支援の現場から』の中で、「「ある特定の社会集団が非常に虐げられて、希望がない」という状況が、紛争が起きる根本的な原因」と語っているが、21世紀に生きる我々は、解決不可能にも見える「民族」間の対立を乗り越えて行けるのだろうか。 (2008年6月了)
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古本ワゴンでいつぞや買ったまま積ん読だったのを読んで見た。「民族の概念はイギリス宗教改革から誕生した」ってのはおもしろい。いや、オイラが知らんだけで常識なのかも知れんけど、オイラは知らんかった。で、フランス革命の混沌、ドイツでは「ドイツ国家」という受け皿がなくて「ドイツ民族」が成...
古本ワゴンでいつぞや買ったまま積ん読だったのを読んで見た。「民族の概念はイギリス宗教改革から誕生した」ってのはおもしろい。いや、オイラが知らんだけで常識なのかも知れんけど、オイラは知らんかった。で、フランス革命の混沌、ドイツでは「ドイツ国家」という受け皿がなくて「ドイツ民族」が成立しなかった、ってのも。そういやナチスは「民族」ではなくて「人種」か、とか。かなり難しいし、オイラも二度読んでもどれくらい理解できてるかはアヤフヤだけど、理解できた範囲はおもしろい。ただ、最後の日本、東アジアについての章は蛇足のような気が。
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