自分のいのちは自分で決める 生病老死のバイオエシックス=生命倫理 beyond the century

木村利人(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社/
• 発売年月日: 2000/06/24
• JAN: 9784087811957

商品レビュー

2012/02/09

　バイオエシックスとは、ビオス（いのち）とエシイコス（倫理）というギリシャ語に由来する合成語で、日本では生命倫理と称されている。倫理というのは、道徳よりもより社会的な広がりをもった概念であるから、より公共的な問題として生命倫理について私たち市民は知っておかなくてはならないものだと思う。
　バイオエシックスという言葉が拡がった背景には、医療技術の急速な発達がある。自然状態、ノーマルな状態では死に至るような場合でも、生きることができるようになったからこそ、新しい生のあり方というものが、提示されたのである。

　そして、患者の自己決定が重視されるようになったのである。より良い生とは何か、よりよい死とは何か、一義的には決められないからこそ、慎重に考えた上で決断しなくてはならない。

　その意味では昔よりも、課せられる人生の問題は重くなっているともいえる。
　とはいえ、選択肢が増えたことそれ自体は必ずしも悪いことばかりではないので、享受できる部分は受け入れることこそ（またその反対も）大切な姿勢だろうと思う。