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戦う操縦士 サン・テグジュペリ・コレクション4
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戦う操縦士 サン・テグジュペリ・コレクション4

アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリ(著者), 山崎庸一郎(訳者)

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戦う操縦士 サン・テグジュペリ・コレクション4

3,080

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2000/09/22
JAN 9784622045243

戦う操縦士

¥3,080

商品レビュー

4.3

3件のお客様レビュー

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2015/09/25

絶版になっていて、古本でもなかなか手に入らないということがわかったため、近くの図書館より借りてきて読了。 全体の3分の2は、第二次大戦におけるフランスの現状を嘆く記述が多く、そんな中出撃を要請されることで、自らの死がどんな意味を持つのか自問自答する筆者の姿が描かれる。 しかし、最...

絶版になっていて、古本でもなかなか手に入らないということがわかったため、近くの図書館より借りてきて読了。 全体の3分の2は、第二次大戦におけるフランスの現状を嘆く記述が多く、そんな中出撃を要請されることで、自らの死がどんな意味を持つのか自問自答する筆者の姿が描かれる。 しかし、最後の5章は、そんな自問自答を超越し、「人間」と連帯していこうと決意する筆者の姿に感動させられる。 全体がまるで一篇の交響曲のようだ。 読んでいる自分も、何か浄化させられたような気持ちになった。

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2013/09/15

 この飛行機の操縦席には、操作するものが100以上もあるそうだ。  この戦闘機のパイロットは、夜の闇を飛び続けるより機との間に距離を感じている。          言う事を聞かないレバー。  力いっぱい踏みつけても反応しないペダル。  高度を上げた飛行機の各部が凍結し、思うよ...

 この飛行機の操縦席には、操作するものが100以上もあるそうだ。  この戦闘機のパイロットは、夜の闇を飛び続けるより機との間に距離を感じている。          言う事を聞かないレバー。  力いっぱい踏みつけても反応しないペダル。  高度を上げた飛行機の各部が凍結し、思うようにならない。  そんな事は、ずっと言い続けているのに。  そんな事すら、解決できない国の状況。  それなのに、敵地の上を死を賭して飛ぶ。  抗う気持ちも萎え、目的自体失った任務のために。  コクピットに身を沈めるパイロットは哲学者となる。  一つの機に乗る同乗者にすら距離を覚えながら飛び、  死地を潜り抜けて帰り、気づく。  さまざまなものへの帰還を経て。  宇宙空間に漂う、モビルスーツのパイロットの思いをイメージさせる前半から、  「宇宙戦争」の逃げ惑う人類よりもリアルな避難民の描写を経て、  パイロットは人類について思いを馳せる。

Posted by ブクログ

2010/04/22

『そしてだれもが、戦争を戦争らしくするために最善をつくす。心をこめて。だれもがゲームをりっぱにやろうと努力する。おそらく、そうしてはじめて、その戦争が戦争に似たものになりたがるのかもしれない』 十年程前のことだけれど、箱根を旅したことがあった。幼い子供を連れての家族旅行であっ...

『そしてだれもが、戦争を戦争らしくするために最善をつくす。心をこめて。だれもがゲームをりっぱにやろうと努力する。おそらく、そうしてはじめて、その戦争が戦争に似たものになりたがるのかもしれない』 十年程前のことだけれど、箱根を旅したことがあった。幼い子供を連れての家族旅行であったので、子供たちの喜びそうな場所を特に選んでは訪れた。星の王子様ミュージアムもそんな選択肢の一つに過ぎなかったと思う。異国情緒を感じさせる、如何にも造られた感じのする建物。言葉は悪いが子供騙しの施設なのだろうか、というのが第一印象だった。もちろん子供の好奇心は充分にくすぐられると思ったのだが、入場料の高額なこともあって入るのが躊躇われたような記憶もある。しかし、そこで待っていたのは、実はむしろ大人の好奇心をくすぐる展示の数々であったのだ。 サン=テグジュペリに関する資料が、思いの外、多く展示してある。手紙のコピーや彼の人生の一部を再現した部屋など。そんなサン=テグジュペリの資料を知らず知らずのうちに読み耽ってしまっていた。子供たちといえば、半ば手持無沙汰で飽きてしまったような表情を浮かべて、順路の先で待っていた。 「人間の大地」で描かれるほど稀有な体験ではないかも知れないが、その後の人生の考え方をまるっきり変えてしまうという体験が、ここでも描かれている。この本の中でサン=テグジュペリが語っていることは、彼の経験した過酷な現実が、少なくとも、その後如何に尾を引いているかということだ。人間は困難に向き合えば向き合うほどに哲学的になるものなんだろう、と頭では解ったような気になるが、「戦う操縦士」を読んだ後では、「人間の大地」では、死を目前にしたその内省は必ずしも昇華していたと言えなくなるようにも思う。どちらかといえば、砂漠の中でじわじわと迫りくる死というものの方が、人間の尊厳をより打ち砕くのか。だからと言って、23分の17の確率で起こりえる死を受け容れる方がより容易であるとは言い難いけれども。それでも、ここには、一段高い蒼穹の上から俯瞰した思考があるように思う。 『言うまでもなく、敗走は悲しい情景である。低劣な人間は低劣な人間としての正体をあらわにする。略奪するものは略奪者としての正体をあらわにする。組織は崩れ去ってゆく』 『「ところで、オシュデ・・・。」オシュデは、修道士がその宗教の中に浸っているように、戦争の中に浸っている。(中略)この境地にいたると、生と死は若干まじり合う。オシュデはすでにまぜ合わされている』 放っておかれれば、きっと自分はいくらでもサン=テグジュペリの言葉をこのノートに書き連ねていることだろう。もちろん、それらが全て何かの「真実」に辿り着いているという訳ではないし、そういう意味でサン=テグジュペリが哲学者であるなどと言いたい訳ではない。しかし時として中段の論理手順を省いてしまったかのような物言いは、聞いた後から何かとてつもなく大きな「意味」がプロペラの音と共に増幅されて頭の中に飛び込んでくるような感慨をエコーする。シニカルな響きは通低している。だがその中に、極めて純白な声の成分が、特定のごく狭い周波数帯に潜在しているように響くのだ。 解説を読めば、この文章が必ずしもサン=テグジュペリの個人的な思考の覚書として作家の声を求める限られた読者に向かって書かれたものというよりは、より不特定の読み手を想定したプロパガンダ的性質を帯びていることも解るのだけれど、自分には「戦う操縦士」はどうしても「人間の大地」の続編のように響く。自らの体験を、後から生き直し、見過ごしてしまいそうになる「意味」を掬いあげるサン=テグジュペリの行為として読んでしまう。郵便航路とは比較にならないほどの危険を飛び越えて、死の匂いのする弾幕を切り抜けて、尚そこに生命を賭すことの理由を理解しようとする行為を読み取らずにはいられない。もちろん、箱根で彼の生涯を学んだ自分は、サン=テグジュペリが最後の帰還を果たせない任務に着いてしまったことを知っていて、その行為のノブレスな側面を見過ぎてしまっているのかも知れないけれども。 『生命というものは、そのときどきの状態によって説明されるものではない。その歩みによって説明されるのだ。わたしが疑うことのできぬ唯一の勝利は、種子のなかに宿る勝利だ。(中略)しかし、小麦に宿るその勝利に立ち合うためには、時の流れが必要なのだ』

Posted by ブクログ

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