クラシック貴人変人

伊熊よし子(著者)

• 販売会社／発売会社: エージー出版/
• 発売年月日: 1998/03/25
• JAN: 9784900874169

商品レビュー

2014/05/29

ミレニアムの記念に「偉大なる20世紀のピアニスト」という
２００枚組のCDがレコード会社の枠を越え、発売された。
そのボックスは私の宝物であって、今現在も活躍している
ピアニストも物故したピアニストも、クラシックを好きになった
時に等しく恋をしたことを思い出させてくれる。

この本もそんな懐かしさを呼んでくる。

カラヤン・デュトワ・シノーポリ・マゼール・小澤
ヨー・ヨー・マ・ヴェンゲーロフ・ブリーム・パシュメット・
クレーメル・カラス・カレーラス・ドミンゴ・パヴァロッティ・
ブライ・クラウス・ストルツマン・ナカリャコフ・ゴールウェイ・
アシュケナージ・グルダ・キーシン・ピリス・ベライア・
ダン・タイ・ソン・アルゲリッチ・ゲルバー・カツァリス・ブーニン
ヘルフゴット・・デ・ラ・ローチャ・ミケランジェリ・リヒテル

試みに取り上げられたアーティストを抜書きしてみた。
綺羅星のようなというにふさわしい。
すでにこの世の人ではない方もいる。

でも演奏はずっと残って私達を感動させているし
現役のアーティストの演奏も、やはり胸が熱くなる記録だ。
何よりその音が、すぐに思い出せる。個性があるのだ。

今活躍中のアーティストも、ちゃんと楽しんで
味わいたいけれど、このような少し前の香りがする時期の
演奏やアーティストのことも同様に味わい楽しんでいたい。

聴かれている限り演奏は生きている。
だからやっぱりいいものは、生かし続けていたいのだ。
今の音たちもそうして、ずっと長い時を生きていく。

著者は今、確かレコ芸のディスク選考もしてらしたと
思うのだが、
この方の執筆姿勢はいつも肌合いが温かい。

この本のような人物伝を交えたものだと、特に際立っている。
偉大だ芸術家だからと奉っていないのがいい。

ディスクからこの本のアーティストを知った方にも
ぜひ読んで頂きたい一冊だ。