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ライラック・バス
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ライラック・バス

メイヴ・ビンチー(著者), ハーディング祥子(訳者)

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ライラック・バス

1,870

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青山出版社/
発売年月日 1998/05/25
JAN 9784900845701

ライラック・バス

¥1,870

商品レビュー

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2014/01/27

「銀婚式」で気に入った、モーヴ・ビンキーの作品。 海外文学は、有名な名前じゃないと日本語表記が統一されていなくて、探すのが大変だ。 これは毎週末「ライラック・バス」に乗り込む人々に、1章ずつスポットを当てて描いた連作短編集。 私は昔からオムニバス物が好きだが、それはつまり「別の...

「銀婚式」で気に入った、モーヴ・ビンキーの作品。 海外文学は、有名な名前じゃないと日本語表記が統一されていなくて、探すのが大変だ。 これは毎週末「ライラック・バス」に乗り込む人々に、1章ずつスポットを当てて描いた連作短編集。 私は昔からオムニバス物が好きだが、それはつまり「別の視点」で同じシーンを眺め変えることができるからだ。 ある人から見れば好人物も、他の人の視点からすると鼻持ちならない人間だったりする。 この作品は、同じ週末を舞台に、乗客それぞれを描いている。 当たり前のことだが、どんな人間だって、その人の人生にとっては自分が主人公だ。 そして誰だって、多かれ少なかれ人に言えないことを抱えている。 「銀婚式」でも思ったが、別段目立った事件もない淡々とした内容なのに、読ませるのはすごいなと思った。同著者の別作品も読みたいが、上下巻ものが多いんだよなあ。 また気が向いたらにしようかな。

Posted by ブクログ

2009/10/27

エメラルド・グリーンの島、アイルランドを舞台にしたお話です。 週末ダブリンから故郷に帰るライラックバスの乗客と、運転手各自の物語。作者はメイヴ・ピンチー。 中でも乗客のひとり、ルーパトのお話がすごく好きです。 弁護士でプロテスタントの両親の間に生まれた年子のルーパトは、なかなかそ...

エメラルド・グリーンの島、アイルランドを舞台にしたお話です。 週末ダブリンから故郷に帰るライラックバスの乗客と、運転手各自の物語。作者はメイヴ・ピンチー。 中でも乗客のひとり、ルーパトのお話がすごく好きです。 弁護士でプロテスタントの両親の間に生まれた年子のルーパトは、なかなかその両親に気を許せないまま、お互いに気をつかったまま大人になり、週末になるとライラックバスで、気落ちしながら年老いた両親のところにかえるのです。 ルーパトは故郷になんか帰らず、男である自分の恋人、ジミーと家ですごしたい、とおもってます。しかし、ジミーは病気がちでもある父と、母のもとにかえるべきだといって譲らないので、故郷に帰る。ジミーはおおらかなつつみこんでくれる性格で、ルーパトはその性格に安らぎを得てます。 以下好きなシーン。 ポーチまでクレマチスのつたう白い家に住む二人、家のことを考えるのが唯一好きで、不動屋さんで働くルーパトと、そこでであったジミーが暮らすのはそんな家です。 7月にはリンドウの青い花が庭いっぱいに咲いて、それがあんまり綺麗だから二人して写真をとりあったりする。 ルーパトは退屈なふるさとへのバスの中で、ダブリンの家にいるジミーのことを考えます。 「玄関で立ち止まって、クレマチスに触れ、手の中に包み込んで香りを楽しむジミー」 * ジミーをゲイだと知っていて、ゲイだということを軽くからかうようなジミーの一家に憧れるルーパトに、こういいます。 「君はちょっと気難し屋で、それにかなり神経質だ、ルーポ。たとえ君の家族が僕んちみたいだったとしても、君なら脅かされているような気がして、やはり悩んだに違いないさ」 ルーパトは笑った。 「そのルーポって呼ぶのをやめてくれないか。まるで動物園にいるエキゾチックな鳥みたいじゃないか。」 「そうさ!君はまさにそれだ。陰気で、いつも考え込んでいるエキゾチックな鳥。どんな気候でも生きていくのが難しいんだ!」 そんなジミーの言い方が好きです。それにもっともだと自覚していて、(ジミーを愛しまくりなので)怒ることもないルーパトも。 * 1980年代なんだから、もうゲイを公言したっていいはずだ、と嘆くジミー。公言しようものなら(ジミーは学校関係の人)大変なめにあいます。 「あのインク染みだらけで、頭の足りない、どうしようもない子達に、誰が興味なんか持つものか」 ジミーは嘆いた。 「僕が惹かれるのは君だけだ、ルーパト。愛しているのは僕の陰鬱で、美しいルーパトだけなんだ」 陰鬱と言い切る素敵さ。ちなみにルーパトはすべての悲愴を捨てきれず背負い続ける感じの性格です。 * 両親の家に帰り、ジミーならこういうだろう、こうするだろう、とうまくつきあえない両親とかわしあう中で考え続き、とうとう両親に今度友人をつれてきます、というルーパト。 両親はもちろん大喜びです。けれどもルーパトは言ってしまったけど、ジミーは来てくれるのだろうか、と不安にかられながら電話します。 するとジミーは二つ返事であっさりとくることに決まります。 あまりのはやさに間が空きながらも、ほんとうに、ほんとうにいいのかい、とたずねるルーパトに。 「あたりまえだよ。君は一生そういってくれないだろうと、あきらめていたんだから」 ただどうしていいかわからないだけで、ルーパトが両親をなんだかんだで愛しているのが好き。 そんな「陰鬱」なルーパトを愛しているジミーもすき。週末お互いに、もし相手が浮気していたら、と考えてしまうふたりがすきです。 この作者の方の言い回しがとても素敵です。あこがれます。

Posted by ブクログ

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