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食卓のない家 戦後ニッポンを読む
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 読売新聞社 |
発売年月日 | 1997/03/12 |
JAN | 9784643970333 |
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食卓のない家
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商品レビュー
3
3件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
本作は連合赤軍の一連の事件により逮捕された吉野雅邦氏をモデルにしたそうだが、父親が東大卒、三菱閥の会社の幹部で息子が東大を落ち横国に行ったくらいのいわば経済的に恵まれた環境下にあったという設定くらいが同じでかなり実際の事件とは異なる。 特に本作では戦後家長制度が廃止され、個人の独立性が尊重され、親と子がそれぞれ別個の人格として扱われる理想を具現化した憲法、民法を始めとした法制度の確立にもかかわらず、成人した子が引き起こした刑事事件についてその道義的社会的責任を追及される社会、マスコミの在り方に対する問題提起している。 主人公は息子の犯行についてあくまで息子の責任において実行したことであり、その責任も関与も拒否する方針を様々に批判されながらも貫く。 この考えを貫くことにより、彼の妻が精神的に病み自殺するといった悲劇を導いてしまう。 ただ現実の吉野氏の父親は会社を辞職したそうだが。 本作が発表された1979年から40年以上たつがまだこの問題はくすぶり続けている。 著者は親子間の血統という問題にその原因の一端を求めているようだが判然とはしない。それは継承した気質に由来するものなのだろうか? 特に主人公の父親が内側に秘めた思いを容易に表さない気質を息子が色濃く継承している描写には立場の違いを超えた割り切りを感じた。 この親子間の断絶が従来からの親子間の情愛を信じる妻には理解できず絶望したのだろう。 最後主人公が息子と生き別れた恋人との子(主人公にとっては孫にあたる)に出会い息子の面影を見出したことで感涙するエピソードは、やはり理論だけではない情愛の優位を感じるが、本作ではそこで終わる。 現実の事件はもっと残酷で吉野氏は身ごもった自分の恋人がリンチされ死んでいくのを傍観していたのだから情愛の優位性など敗北の論理と総括したのだろうか? なお、本作で主人公を取り巻く女性とのロマンス(特に若い大学院生)はやや余計な感じがした。
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成人に達した我が子が犯罪を犯したとき親はどう対処するのか、というのがテーマになっている小説でした。 ずばり、タイトルどおりに、一つの家庭が息子の犯した事件によって崩壊していく様が描かれていました…といってもミステリーではなく、実話にそったフィクションです。 しかも作者は日本の古...
成人に達した我が子が犯罪を犯したとき親はどう対処するのか、というのがテーマになっている小説でした。 ずばり、タイトルどおりに、一つの家庭が息子の犯した事件によって崩壊していく様が描かれていました…といってもミステリーではなく、実話にそったフィクションです。 しかも作者は日本の古典文学について平安朝から近世まで詳しく、女を描いた小説と『源氏物語』などに定評のある円地文子さん。サブタイトルも「戦後ニッポンを読む」と来ると、気になって仕方なく、とうとうこの分厚い本に手を出してしまいました。 物語の背景は1970年代。大手電子機器メーカーに勤める鬼童子信之は、三人の子供たちと妻との平和な家庭の長でした。秀才の長男大学生の乙彦は、激しくなっていく学園闘争のなかで、特に過激な学生グループのリーダー格となっていき、八ヶ岳の山荘で人質をとって立て籠もったあげく警察に逮捕されるという事件を犯します。有る程度裕福だった鬼童子家は、これにより、世間やマスコミから激しい非難にさらされることになりました。 この小説は1972年の連合赤軍による「浅間山荘立てこもり事件」がモデルになっています。あの事件の当事者たちとその家族の行く末はどうなったのか。子供だった私の記憶はあの当時のことはほとんどなく、この本を読むとやはり事件後の家庭の崩壊は免れないのでしょう。 「親の責任」は法的にはないかもしれませんが、いくつになっても親は親と、世間の目は冷たい。やはりこういう結末を迎えるしかないのかなあ、とむなしい読後感が残りました。
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山荘にて人質立て籠もり事件、総括事件を起こした左翼青年を息子にもった父の物語。2008.7.19-22.
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