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七五調の謎をとく 日本語リズム原論
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七五調の謎をとく 日本語リズム原論

坂野信彦(著者)

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七五調の謎をとく 日本語リズム原論

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 大修館書店
発売年月日 1996/10/01
JAN 9784469221275

七五調の謎をとく

¥2,090

商品レビュー

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2021/10/22

なぜ七五調が気持ちいいのか、なぜ六や八でなく五と七なのか、なぜ短歌は五七五七七なのか、という謎に学術的に迫る本。ちゃんとした研究ベースの本だった。この分野に詳しい人なら、著者名や書名でそういう安心感は持てるのだろうが私は知らなかったので、「日本人の魂が」とか「遺伝子が」とか「精神...

なぜ七五調が気持ちいいのか、なぜ六や八でなく五と七なのか、なぜ短歌は五七五七七なのか、という謎に学術的に迫る本。ちゃんとした研究ベースの本だった。この分野に詳しい人なら、著者名や書名でそういう安心感は持てるのだろうが私は知らなかったので、「日本人の魂が」とか「遺伝子が」とか「精神が」とかでまとめてくるようなチャラい本じゃなくて良かった。しかも、それでいて、一般向けの語り口で読みやすい。なのでもし興味がある人にはぜひ読むことをおすすめしたい。 で結局「なぜなのか」の答えの要約はちょっと荷が重いのでせず、思い出したくなったらたまに開いて確認しようと思う。 納得いったか否かでいうと私は概ね納得したが、文句をつけようと思えば「そんなの主観じゃん」とか「ただの推論じゃん」とか言えなくもない。でも、淡々と述べられる論拠の裏に、無精ものの私はトレースすらしたくないような地道な調査の積み重ねがあることがわかる(一例を挙げれば、結句の七音が三四構成【例:はなの・ちるらむ】のものと四三構成【例:あひみる・ごとし】のものとが占めるそれぞれの割合を、万葉集や古今和歌集やサラダ記念日など代表的な歌集毎に集計するなど)。主張とはこうやるものなのか…というのを見た思い。 そんな地に足付いた分析と考察と、そして熱いこだわりとロマンとに包まれて、一冊まるごと七五調の心地よさの探究にだけ――例証に使われるのは和歌だけではなく、ことわざ、お経、わらべうた、コマーシャルのコピー、はやし言葉など様々で、内容論ではなくただひたすら音律論なのだ――浸っていられる時間がなんとも贅沢という、幾分マニアックだが不思議に幸せな読書だった。 以下は、気になったことが多過ぎて書ききれないけど書ける分だけ備忘メモ。 ・昔の人が声に出して和歌をどう詠んでいたかなんて、そんなの満足に述べられるわけがないと思ったが、前述の三四/四三構成の割合や字余りのさせ方の傾向などの分析を根拠に述べて見せた。圧巻。 ・そうやって解き明かした詠唱法を前提に、その詠み方にあわせて「こういう音律を守ると良い和歌」というスタンダードができたのだろうと考察する。いまでいうと、「曲先」ていう感じ? ・明治三十年ごろ、和歌の王朝的基盤(=平安朝、古今集)、すなわち「結句四三調忌避」や「慣習的字余り」からの解放が進んだ。これは、明治に入って黙読の文化が根付いたことの影響が大きいのでは、との見解。 ・ということは今後、声優ブームなどに乗っかって短歌や俳句の朗読なんかがもしかして流行り定着したりしたら、また変わっていくのかもしれない。作品(商品)として音声収録するとなると、「散文読み」するか「律文読み」するべきか迷いどころだよなあ。つまり例えばこの歌を、五七五七七で区切ってよむ(律文読み)のか、意味の区切りでよむ(散文読み)のか。 ハンバーガーショップの席を立ち上がるように男を捨ててしまおう(俵万智『サラダ記念日』) 散文読みしたら短歌にならないのだけど、律分読みと割りきるとそれはそれで味気ないような。

Posted by ブクログ

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