商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞社/ |
発売年月日 | 1996/10/01 |
JAN | 9784022611673 |
- 書籍
- 文庫
小耳にはさもう
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商品レビュー
3.8
6件のお客様レビュー
ナンシー関作品すべて…
ナンシー関作品すべてがおすすめ。テレビで一瞬の発言を聞き漏らさず人格を洞察しているのはさすが。
文庫OFF
あいつの鋭い観察眼は…
あいつの鋭い観察眼は、世界を誑し込んじまったのさ。
文庫OFF
ナンシー関の名声を磐石なものとした週刊朝日連載の同名コラムからの書籍第一弾。記念碑的な作品である、と思う。 ナンシー関の本の解説を書いている人の中だけでも、彼女のことを男性だと思っていたという人が多くて驚くのだが、実は私も相当長い間男性だと思っていた。あまりの文章の切れ味の良...
ナンシー関の名声を磐石なものとした週刊朝日連載の同名コラムからの書籍第一弾。記念碑的な作品である、と思う。 ナンシー関の本の解説を書いている人の中だけでも、彼女のことを男性だと思っていたという人が多くて驚くのだが、実は私も相当長い間男性だと思っていた。あまりの文章の切れ味の良さと切った後に漂う寂寥感にダンディズムまで感じ、孤高のおじさまがその知性を存分に振るって滅多斬りにしているのだと信じていたものである。同時期に連載されていた「恨ミシュラン」が西原のおねーちゃん的キャラを前面に出していたのとは対照的に、消しゴム版画一つで引き締められたストイックな紙面のせいもあったかもしれない。余談だが西原はナンシー関の二つ年下なだけである。 さて中身だが、当時を知らない人が読んだらさすがに厳しいかもしれない。出てくる固有名詞はかなりのものが歴史上のもの(あるいは灰塵)と化しているし、そもそもこの頃はまだインターネットが普及しておらず、テレビはまだ娯楽の王様の座に安寧していた。「昨日なに見た?」といえばテレビ番組のことであり、手持ち無沙汰な夜に頭を使わずに一人でできることといえば深夜番組を見ることくらいだった。隔世の感がある。 しかし、ナンシー関がテレビを切って切って切りまくったその道行としてこの本を読むと、そんなテレビの絶頂期にあって、心中も辞さないほどに深く「おもしろい」テレビを愛し、その先行きを案じていたのだと感じる。(忖度という言葉が今ほどはやる前であるが)忖度するテレビのつまらなさ、内輪ウケするテレビの危うさを心配し、愛するテレビが面白くなくなってしまうことに怯えるナンシーの危惧は案の定現実となり、今や「テレビ離れ」という言葉はWikipediaに載っているほどである。 もうすぐ没後20年である。ナンシー関が生きていたら、今のテレビをなんと書くだろう? テレビに「ひっかかるもの」を見つけるたびに、いつも思ってしまう。私自身も田舎のテレビっ子として育ったので、刷り込みとして「テレビには面白くあってほしい」と思ってしまう部分がおそらくあって、それがナンシー関と共通しているのだと思う。しかしナンシー関の深い愛情(もしかしたら愛憎かもしれないが)と明快な分析力には遠く及ばないので、もはや死に体のテレビの「もやもや」をすっきりと説明してくれるナンシー関を、今こそ強く求めているのだ。
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