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若き日の哀しみ 海外文学セレクション
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若き日の哀しみ 海外文学セレクション

ダニロキシュ(著者), 山崎佳代子(訳者)

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若き日の哀しみ 海外文学セレクション

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社/
発売年月日 1995/07/15
JAN 9784488016074

若き日の哀しみ

¥1,602

商品レビュー

4

3件のお客様レビュー

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2019/12/25

ユーゴスラビアでの子供時代をメモで綴ったような連作短編集.困難な時代を牧歌的なそれでいて深い人間観察を併せ持った子供視点の文章で風景描写のようにその時代を描いている.その語られる風景の背景に潜む感情のほとばしりのようなものが溢れてなんとも言えない.特に「少年と犬」には言葉もなかっ...

ユーゴスラビアでの子供時代をメモで綴ったような連作短編集.困難な時代を牧歌的なそれでいて深い人間観察を併せ持った子供視点の文章で風景描写のようにその時代を描いている.その語られる風景の背景に潜む感情のほとばしりのようなものが溢れてなんとも言えない.特に「少年と犬」には言葉もなかった.

Posted by ブクログ

2017/08/16

著者のダニロ・キシュは旧ユーゴスラビアの作家です。 第二次世界大戦中に少年時代を送りました。 ユダヤ人の父は強制収容所に送られ、還らぬ人となりました。 本作は、キシュの子供時代の体験が元になっています。 ただし、戦争体験は直接的には言及されません。 ですから、表面的には戦争につき...

著者のダニロ・キシュは旧ユーゴスラビアの作家です。 第二次世界大戦中に少年時代を送りました。 ユダヤ人の父は強制収容所に送られ、還らぬ人となりました。 本作は、キシュの子供時代の体験が元になっています。 ただし、戦争体験は直接的には言及されません。 ですから、表面的には戦争につきものの悲壮感といったものは影を潜めています。 これは著者が意図的にそうしているそうですが、まるで映画のように映像を繋いでいき、悲壮感を和らげるよう努めているそう。 しかし、いや、だからこそ、というべきでしょう、作品は全篇通じて独特の哀感に満ち、読者を深い感動へと誘います。 この際だから言いたいのですが、作者が読者を悲しませようと力を入れれば入れるほど、読者は引いてしまいます。 哀しい話は朗らかに、逆に明るい話は陰鬱に書くと、ひねくれ者の私なんかはハッとして手もなく騙されてしまいますので、そこらへんヨロシク。 で、本作に戻ると、戦争にまつわる、いわゆるところの珠玉の短篇ばかりなのですが、中でも「少年と犬」が実にいい。 主人公の少年アンドレアス・サム(アンディ)が愛犬ディンゴと別れることになるのですが、もう、その設定だけで眼が潤んでしまいます。 ただ、それをやはりお涙ちょうだいにせず、ある意味では淡々とつづっているのがいい。 特に、後半を手紙形式にして締めくくったのが、ここでは抜群の効果を生んでいます。 ええ、泣きました、しかも号泣に近いくらい。 30年間に読んだ、恐らく1千数百篇の短篇の中でも間違いなく5本の指に入ります。 本書の帯にもありますが、本作を全部読まなくてもいいから、この「少年と犬」だけはぜっひ読んでいただきたい。 文章も抜群にうまいです。 決して感傷的ではありませんが、詩情豊かでうっとりすること請け合い。 比喩もさりげないですが、それだけに心憎い。 たとえば、本作の中ほどにある短篇「馬」。 家畜小屋の中で馬のサルタンがわき腹を下にして薄く敷いたおが屑に横たわっていました。 兵隊が馬の尻を叩き、「頑張るんだ、サルタン」と呼び掛けます。 それでも、サルタンは体を硬直させて横たわったまま。 その際の比喩が― 「サルタンは体を硬直させて横たわっていた。倒れた記念碑のように。」 これはなかなか出ない。 「倒れた石碑」なら、奇跡的に出るかもしれません。 でも、「倒れた記念碑」は出ない。 同じく「馬」からですが、兵隊たちが死んだ馬をソリに乗せて墓場へ行く場面もいいですね。 「兵隊たちは死肉を橇(そり)に積み、馬の墓場へ引いていく。橇を引くのは老いぼれ馬で、じきに自分も墓場へ行くことが目に見えていた。橇の後を見送って悲しい心のひとりの少年(アンディという名の)と、ディンゴと呼ばれる一匹の犬の足跡が続いていった」 凡百の作家なら、「アンディとディンゴがついていった」、あるいはちょっと描写も加えて「アンディとディンゴがとぼとぼとついていった」などと書くでしょう。 キシュは、たとえ主人公の言動であっても直接は書かずに、「足跡が続く」と描写することで、何とも云えない情趣を生んでいます。 ほんと随所にこんな描写があるのだから、誠に至福。 小説を読む悦びにずっと浸っていられます。 ちなみに本作を手に取ったのは、たまに聴いているFMラジオAIR-G‘の「パナソニックメロディアスライブラリー」で、作家の小川洋子さんが紹介していたから。 しかも、番組開始以来10年間で取り上げた505冊のうちのベスト3の1冊(!)。 あと2冊(藤原てい「流れる星は生きている」、アゴタ・クリストフ「悪童日記」)は既に読了済みで書棚に保管してますが、本作は未読でした。 これは読まねばと、直ちに図書館に借りに行って読んだ次第。 大収穫でした。 ええ、読了後、アマゾンで注文しましたとも。 届いたら再読します。 繰り返します、「少年と犬」は絶対におススメですよー。

Posted by ブクログ

2010/06/26

[ 内容 ] ダニロ・キシュの美しい連作短編。 [ 目次 ] 秋になって、風が吹きはじめると マロニエの通り 遊び 略奪 顔が赤くなる話 セレナード、アンナのために 野原、秋 婚約者 陽の当たる城 野原〔ほか〕 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすす...

[ 内容 ] ダニロ・キシュの美しい連作短編。 [ 目次 ] 秋になって、風が吹きはじめると マロニエの通り 遊び 略奪 顔が赤くなる話 セレナード、アンナのために 野原、秋 婚約者 陽の当たる城 野原〔ほか〕 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted by ブクログ

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