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検証・ゴジラ誕生 昭和29年・東宝撮影所
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検証・ゴジラ誕生 昭和29年・東宝撮影所

井上英之(著者)

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検証・ゴジラ誕生 昭和29年・東宝撮影所

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 朝日ソノラマ
発売年月日 1994/09/25
JAN 9784257033943

検証・ゴジラ誕生

¥1,922

商品レビュー

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2016/07/24

借りたもの。 初代『ゴジラ』誕生話を、ドキュメンタリー形式でまとめたもの。 日本とインドネシアの合作大作『栄光の影に』が頓挫し、急遽、制作することになった映画―― 水爆実験に巻き込まれた第五福竜丸事件、日本ではまだ封切りにはまだなっていなかった『原子怪獣現わる』からヒント得て生ま...

借りたもの。 初代『ゴジラ』誕生話を、ドキュメンタリー形式でまとめたもの。 日本とインドネシアの合作大作『栄光の影に』が頓挫し、急遽、制作することになった映画―― 水爆実験に巻き込まれた第五福竜丸事件、日本ではまだ封切りにはまだなっていなかった『原子怪獣現わる』からヒント得て生まれた”G計画”――その時にはまだ名前も確定していなかったものが、いかにして作られ、日本を代表するスペクタクル映画になったかが書かれる。 ”G計画”という名称での徹底した情報管理、予算、撮影期間、技術的な話等、制作サイドのやりとりを読んでいくと、誰もやったことがない分野を開拓してゆく過程――その試行錯誤がドラマティックだった。 ”ゴジラ”の名前の由来は、憶測の粋を出ていないが…… また、ゴジラが当時の世相を反映している――これは対決シリーズ化してもそうなのだが、もっと戦争や不穏な事件、ネガティブな印象が強い事がわかる、戦後昭和~平成の湾岸戦争頃までの社会の動きと照らしあわせてまとめている。 読み物としては大変面白いが、資料としてのヴィジュアルの少なさと読みにくさが否めない…… それは『別冊映画秘宝初代ゴジラ研究読本』( http://booklog.jp/item/1/4800304520 )に詳しい。 いよいよ日本版で12年ぶり、庵野秀明監督による『シン・ゴジラ』が封切りになる。それにちなんで、読了。 今回も自衛隊の協力がある訳だが、安保法制や自衛隊のあり方が改めて模索されている現在。 初代『ゴジラ』の自衛隊発足前夜の時代と、何となく似ていると思った。

Posted by ブクログ

2014/02/09

昭和29年に公開された日本最初の特撮怪獣映画『ゴジラ』。これまでにも怪獣映画作品として研究、解説された書籍は数多あれど、本書はこの映画が企画から撮影、完成し公開までの一年間を映画製作会社「東宝撮影所」という一つの世界と、それを取り巻く当時の政治、経済など日本の社会世相を背景に、映...

昭和29年に公開された日本最初の特撮怪獣映画『ゴジラ』。これまでにも怪獣映画作品として研究、解説された書籍は数多あれど、本書はこの映画が企画から撮影、完成し公開までの一年間を映画製作会社「東宝撮影所」という一つの世界と、それを取り巻く当時の政治、経済など日本の社会世相を背景に、映画が大衆娯楽の王道、日本のエンターテイメントとして君臨していた時代に根付いた≪一本の映画作品≫という視点で当時の社内記録や業務日誌をはじめ、スタッフの回想など、膨大な資料を基に東宝撮影所において長年助監督を務めている作者がまとめ上げ、現存するスナップや資料写真を網羅することで『ゴジラ』を日本の映画界に新たなジャンルを構築した作品として検証がなされている。 昭和29年初頭、インドネシアとの合作映画作品が政治的な障害により頓挫、急きょ新たな企画が求められた折にプロデューサーの田中友幸による「海底二万里から来た大怪獣」の草案によって≪日本初の怪獣映画≫は始動した。戦中に戦意高揚映画を手掛けた罪によりGHQによって公職を追放されていた円谷英二の帰還、折しも制作作品の中止という憂き目にあっていた監督の本多猪四郎、新たな娯楽メディアとして多くの作家、小説家が映画作品に携わっていた時代に冒険作家の香山滋による基本脚本、日本民族音楽家の長、伊福部昭といった錚錚たるメンバーが、まるで「何か」に引き寄せられるかのように集い『ゴジラ』は紡がれてゆく。 三重県鳥羽市でクランクインした実写班の「本多組」は海上保安庁の巡視船上のシーンから撮影が開始。アクシデントが続発する水中撮影やゴジラが初めて姿を現す石鏡山の撮影では、当時はトランシーバーや携帯などなかった時代、山頂に据え置かれたキャメラで麓を獲るロングでの撮影は「手旗信号」でタイミングを計るなど、現場での苦労は今では微笑ましく映る。 特撮班の「円谷組」は二転三転するゴジラのデザイン、利光貞三による日本初の着ぐるみ怪獣ゴジラの造形は試行錯誤の連続。それまで建物のミニチュアセットでの破壊シーンとは、戦争映画における爆撃シーンなどが主であり「巨大怪獣によって破壊される建物」は新たな視点での演出が必要とされ、ゴジラの吐き出す「白熱光」によって熔け落ちる鉄骨は蝋細工を使用するなど、ミニチュア製作においても斬新なアイデアによる初の試みが多用された。CGなど絵空事以前の存在であった頃、都市破壊のショッキングなビジュアルを実写化させたものは、想像力と創作欲、試行錯誤を恐れない探究心と開拓者精神を持った「創造者達」の姿は今読んでも胸を熱くする。 映画会社の現場から見た日本初の特殊撮影を駆使した本格トリック(特撮)映画の制作記録は、商業利益を追求する映画会社と仕事に夢と情熱を持った職人集団による「総合芸術」としてのバランスが相乗効果によってじつに上手く機能していた事をうかがい知ることが出来る。 日本映画の繁栄期に誕生した娯楽作品にして反核、反戦のメッセージをどの作品よりも強く打ち出した『ゴジラ』。昨今の映画業界の事情と照らし合わせて観ると、凛とした『日本映画の姿』そのものでもあり、羨ましくさえある。

Posted by ブクログ

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