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巨大銀行の構造 講談社現代新書1157
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 1993/07/20 |
JAN | 9784061491571 |
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巨大銀行の構造
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巨大銀行の構造
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
今は昔の30年前の銀行業界。そんな業界本を読むことに果たして意味があるのか。 2020年の現在からすると本作はおよそ30年前の作品。実際の内容は出版よりも過去の話であろうから、内容はおおよそ1980年代程度、よくて1990年初頭ということになる。当然ながら現在の銀行業界とは状況が全く異なる。都市銀行が11行に信託銀行が7行もある時代の話。付利する金利も規制されていた時代。現在からは想像ができません。 そんな大昔の書籍を今更再読する必要があるかと言えば、答えは難しい。銀行業界に関連・ゆかり・興味のない方は、本作は文字通り古本以外の何物でもない。しかし、仮にあなたが金融業界に関連する職種である、あるいはそういう業界に身を置きたいということであれば本作は大いに読む意味があるとと思います。 第一の理由は、歴史です。 冒頭にも挙げましたが、本作の分析は30年程度前の日本の銀行業界の状況についてです。バブル崩壊前後の日本。リーマンショックはいわんや、ITバブルも911も起こる前の状況です。 そんな前の話なぞ若い方は想像もできないでしょうが、その想像もできないような過去が現在の業界を作っている。コーポレートファイナンスの覇権をかけての銀行業と証券業の争い、大蔵省の強烈な規制、デリバティブなどの新商品の登場、他行を見ながらの横並び経営と海外進出、狂気の余資運用の果ての土地バブルとその崩壊。 現在は持ち株会社が銀行も証券も保有し、官僚への接待も(表向きは)消え、競争も国内外に開かれています。自己資本比率や会計基準もBasel3やIFRSに収斂しつつあります。 こうした今を知るための過去。父親や祖父くらいの時代の話を読むことで今の業界の所以を知ることができます。 もう一つの理由。それは変わらぬメンタリティを学ぶよい機会であるということ。 確かに本作の舞台はひと昔もふた昔も前の銀行業界です。今とはかなり異なっているといえますところが、ちょうど本作が舞台とする1980年1990年代の若手たちは、今や企業の中心的立場となっている筈です。つまり、そのメンタリティは未だ業界で脈々と息づいている可能性は大いにあり得る。皆さんのまわりの銀行の方を見てみてください。 本部での『数多くの根回しや、事務レベルでの会議も頻繁に持たれることになる(中略)非効率が、エリートの中堅層を拾うと虚脱に追い込む(P.70)』状況。インフレ率を下回る預金金利を自覚的に(致し方なくも)顧客に供与する(P.156)会社ファーストのメンタリティ。人事評価は「協調性が最も重視され、強い意見具申や採算意識は時としてマイナス評価となる(P.132)」こと。誤解を恐れずに言えばショーワな感じ(私も昭和生まれですが)。 こうした文化を頭ごなしに否定するつもりもありません。根回しだってポジティブに捉えればやる人にとっては良い勉強です。だって役員だって忙しいし。しかし、このようなことがまかり通っている理由といえば、お偉方の不勉強だったり現状の非効率へ声をあげないこと、あるいは声をあげたものを排除するというムラ意識ではないでしょうか。 私は自分のキャリアで証券と銀行にお世話になりましたが、銀行は現在でもこうした前例主義、ルール主義、オーナーシップの欠如などの機能不全を起こしている方が多く存在するように思えます(私の経験した狭い範囲だけであることを願います)。 ・・・ ふう。すこし熱くなりました。 もともとは本棚整理で再読したものです。何でこんな古い本をとっておいたのか我ながら少し疑問だったのですが、再読して、改めて過去の事象が非常によくまとまっていると感じました。また、筆者の銀行の説明(社会的な役割、信用創造、通貨の分類)などの経済学的な説明が平易でそこも良い。 関連しない方にはつまらない昔話かもしれませんが、業界に興味や知り合いがある、関わりたいと思っている方は一読して損はないと思いました。
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