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オトメの祈り 近代女性イメージの誕生
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オトメの祈り 近代女性イメージの誕生

川村邦光【著】

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オトメの祈り 近代女性イメージの誕生

2,007

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 紀伊國屋書店
発売年月日 1993/12/15
JAN 9784314006064

オトメの祈り

¥2,007

商品レビュー

3.3

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2022/04/16

女学生たちが作り上げた幻想の共同体として「オトメ」という概念をあらたに設定し、それが近代化の過程でいかに形成され、かつ当事者たちにどのような形で維持され、結果的に女性自体のイメージにどう影響したのかを、女学生雑誌の読者投稿から分析してゆく本です。 みずからを乙女(オトメ)とみな...

女学生たちが作り上げた幻想の共同体として「オトメ」という概念をあらたに設定し、それが近代化の過程でいかに形成され、かつ当事者たちにどのような形で維持され、結果的に女性自体のイメージにどう影響したのかを、女学生雑誌の読者投稿から分析してゆく本です。 みずからを乙女(オトメ)とみなした少女たちが印刷技術の革新により生まれた読書人間の一種であると言う分析には、なるほどごもっともと思いました。 吉屋信子『花物語』などをはじめ、あの辺りの女学校というとを、なぜか美しく理想的なイメージが浮かんできます。しかも、妙に心惹かれるのです。なんでだろうと不思議でした。いまでも女子校は普通にありますが、そんな清楚な理想郷のイメージはありません。むしろスカートの下にジャージをはいてても誰も気にしないような、楽しくざっくばらんな自由のイメージです。 そこやはり、大昔だからかなと思っていました。学校なんてお金持ちしか通えない場所だったから、自然と浮世離れしていたのかなと。しかし、本書を読むと、かつての少女たち自身が女学校を、どこか聖別された特別な空間として過度に理想化し、懐かしく懐古し続けてたからこそ、あんなにも謎めいてキラキラしてたのが分かります。 つまりは現実の上に重ね合わされたフィクションだったからこそ、いま読んでも妙に魅力的なんですね。言葉をかえれば、オトメとは文字として存在している小宇宙ですから、女学校を卒業しても、孫ができても、読めばすぐに帰ることができる。 逆にいえば、文字ですから、女学生であったことなど一度もないような我々にも触れられるわけです。もちろん、所属感なんてものはないですが、現状になんらかの不満を抱いていて、いっときばかり現実逃避をしたいような人間にも扉は開かれているように思います。 養老孟司氏の本でも、身体と思考の分離をうながす大きな歴史の流れについて語られておりましたが、オトメという幻想の共同体は、因襲的なしがらみから自由にはなれない身体から、読書というツールを利用して、精神だけは分離させようという、当時の女性たちの一種の逃避先だったわけで、だからこそ現実から遊離し過度に理想化されてます。この構造からして近代化の流れそのものだと思います。 こうした、理想郷に読書行為でつながろうとする姿は聖書をあがめたてまつるキリスト教徒のようです。そういえば女学校というとなぜか賛美歌を歌っているイメージがあります。あれはあながち的外れなイメージでもなかったようです。オトメ的な本を読み、オトメ体で書き、オトメ仲間たちと語らい続けることは信仰活動だったんでしょう。それゆえ本書のタイトルもオトメの祈りなのですね。 無名のオトメたちが操る独特な言葉「オトメ体」で描かれる世界はなかなかにパワーがあります。そんなオトメの言葉も、引用の形ではありますが、じかに読めたのが良かったです。

Posted by ブクログ

2014/09/15

乙女でありたいと思った近代の女性たちの姿を、当時の出版物から読み解く。乙女という概念は過去のものとなったけれど、今の女性たちは女子というキーワードで自分たちの世界観をつくっていて、どちらも閉じた世界の中でつながりあっているなぁ、と思う。

Posted by ブクログ

2008/04/28

 明治から昭和初期にかけての、女性達による自己イメージを、当時の雑誌に掲載された投書を元に分析した本。ビックリしたのは、当時の投書の文面の美しさ・心地よさである。古い文体ってのはこうまでして目の保養になるのはなぜか。当時の女性達の、「悲しさ」「寂しさ」といったイメージが、非常に印...

 明治から昭和初期にかけての、女性達による自己イメージを、当時の雑誌に掲載された投書を元に分析した本。ビックリしたのは、当時の投書の文面の美しさ・心地よさである。古い文体ってのはこうまでして目の保養になるのはなぜか。当時の女性達の、「悲しさ」「寂しさ」といったイメージが、非常に印象的であった。2008.4.27-27.

Posted by ブクログ

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