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蝮のすえ・「愛」のかたち 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | 内容:才子佳人.蝮のすえ.「愛」のかたち. 著書目録:p310~313 |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1992/12/10 |
JAN | 9784061962033 |
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蝮のすえ・「愛」のかたち
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商品レビュー
3.8
8件のお客様レビュー
昔の随筆作品をメタに読み解き、透徹な視点が光る『才子佳人』、同時代の退廃的な人間の情動が巧く描かれた『蝮のすゑ』は特に楽しく読めた。 ただ文化の洗練が甘い1950年以前の作品は概して、現代との乖離を感じる独特の読みづらさがある。
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「才子佳人」「蝮のすえ」「「愛」のかたち」の三作品を収録しています。 「才子佳人」は、清末の随筆集である『西青散記』のなかの趙闇叔と雙卿のエピソードをもとにした作品です。非常に美しい妻をめとった醜い男が乞食となる道をえらんだエピソードを挿入し、「才子」と「佳人」がいて文学が生ま...
「才子佳人」「蝮のすえ」「「愛」のかたち」の三作品を収録しています。 「才子佳人」は、清末の随筆集である『西青散記』のなかの趙闇叔と雙卿のエピソードをもとにした作品です。非常に美しい妻をめとった醜い男が乞食となる道をえらんだエピソードを挿入し、「才子」と「佳人」がいて文学が生まれるのではなく、文学的な想像力が現実の人間を「才子」と「佳人」の位置に置くことをえがいた、メタ小説的なテーマにとりくんでいます。 「蝮のすえ」は、終戦直後の中国で、病床にある夫をもつ妻と、彼女から好意を寄せられる「私」の関係をえがいた作品です。「私」は、「彼女」を苦しめる「辛島」という男を殺すことを決意しますが、「私」のそうした決意と無関係のうちに二人の関係は動いていきます。 「「愛」のかたち」も、「蝮のすえ」と共通するテーマにつらぬかれており、こちらは町子という不感症の女性と、彼女に惹かれる男たちの関係がえがかれています。主人公の原光雄は、町子の夫である野口とのあいだで、町子をめぐる三角関係を清算する相談をとりつけますが、野口の感情は町子との別れを拒みます。さらにかつての町子の愛人であり光雄の友人であるMは、光雄を「利口な野獣」と非難し、絶交状を突きつけます。そしてその顛末が、「私と「私」の話」という作中作でえがかれるという、構成上でも野心的な作品となっています。
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小説3篇。『才子佳人』は自ら作り上げた虚構への諦観と、幻への憧憬が詩的に描かれた作品で、結末も味わい深い。次の2篇は何れも、決断力のない男が出会った女を軸に快感と見栄と環境に流されながら変わっていく心理が描かれている。女性の美しさを肉体にのみ見出す「無感覚な人形」の男。凡庸にも思...
小説3篇。『才子佳人』は自ら作り上げた虚構への諦観と、幻への憧憬が詩的に描かれた作品で、結末も味わい深い。次の2篇は何れも、決断力のない男が出会った女を軸に快感と見栄と環境に流されながら変わっていく心理が描かれている。女性の美しさを肉体にのみ見出す「無感覚な人形」の男。凡庸にも思える(だからこそ近しい存在として読める)その像を、当人含め誰もが見誤る。愛がすれ違う。とても読み応えのある作品集だ。蛇足だけど、私は内面は外に溢れると思っている。鏡に映る凡庸でなかなか不細工な私が私であると。
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