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ジョン・ボウルビィの『母子関係の理論』、漸く全3巻を読み終えた。本書では、アタッチメント対象の喪失(主に死別)について、死別者に及ぼす影響や、その個人差、その個人差を規定する要因について仔細に記されている。その要点を、以下にまとめたい。 〈死別後の反応を規定する要因〉 ⑴ 死別以前の、死者と死別者との関係性 ⑵ 死別後の環境(これが非常に重要) ⑵-i 悲しみの感情の表現が許されているか ⑵-ii (子どもの場合)死者に代わる母性的養育者が得られているか ⑵-iii (子どもの場合)死者に関する質問が許され、死者に関する正しい情報(例えば、死因・死者とは二度とと会えないこと・死体の行く末など)が与えられているか 加えて、学んだことを下記に記したい。 ⑴ アタッチメント対象が1人しかいない場合、死別者は、「アタッチメント対象の喪失の苦痛」に加えて、「その苦痛を表現し、頼れる・支えてくれる相手を喪失する苦痛」を同時に受けることになる。 ⑵ 他者に対するIWMが不安定的である場合、そのIWMに基づいてとられた行動や言動は他者との間に信頼関係を築くことを難しくし、その経験によってさらに不安定的なIWMは確信される。不安定的なIWMが、こうした負の循環に陥るのと同様に、他者に対する安定的なIWMは、それをより確信させる循環を生じさせる。ある個人において採用される作業モデルが変容することは容易には起こり得ないが、不可能ではない。 【現場で生かすための総括】 死別者が大人であれ子どもであれ、素直に悲しむことと、事実を正しく知ることが、死別後の適応性を一定程度保障する上で重要である。そのためには、援助者自身が、自身の悲しみや不安を死別者に開示し、悲しみや不安といった感情を共有できる関係、環境を整えることが必要である。と、同時に、死別という事実を「受け止め、感情が表現できる」ようになるには長い歳月を要し、一朝一夕では回復していく姿を見られないことも肝に銘じておくべきだろう。 喪失後、時に「強迫的保護」、「自殺願望」、「衝動性」などの反応を示すこともある。これらの状態を「喪失に対する反応」として受け止められる援助者が、求められる。
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