立ち腐れる日本 その病毒は、どこから来たのか カッパ・サイエンス

西部邁, 栗本慎一郎【著】

• 販売会社／発売会社: 光文社/
• 発売年月日: 1991/09/01
• JAN: 9784334060626

商品レビュー

2010/05/28

２人の思想家が日本の…

[文庫ＯＦＦ]

２人の思想家が日本の平和ボケの原因を熱く討論。

2014/02/14

西部邁と栗本慎一郎が、湾岸戦争前後の日本の状況について語り合った本。

両氏に共通の考え方として、設計主義に対する批判があるように思います。保守主義者である西部は、マルクス主義のような理性によって人間の社会を統御できるという思いあがりを厳しく退け、伝統の中にある知恵に学ぶべきだと考えています。一方、カールとマイケルのポランニー兄弟やニーチェ、バタイユの思想から学ぼうとする栗本は、理性によって統御できるシステムの外部に広大な領域があることを知ろうとしない小市民的な知を嗤い飛ばしています。

もっとも印象に残っているのは、本書の最後で語られている西部の発言です。「社会というものを隣近所とか職場とか広場とかいったような空間的なものととらえずに、過去や未来という時間軸の上に据えてみたらどうか」と提案し、「まわりのものを気にしてキョトキョトしている」のはまったく無駄なことで、「過去の優れた人物の意見や未来からかすかに聞こえてくる真実の声のほうがよほどに魅力的」だと主張します。ただ、そうした奥行きのある議論を展開する西部にしてなお、山口昌男と並ぶ思想界のトリックスター栗本慎一郎の、二段構え、三段構えの立場を押さえるのに、苦労しているような印象も受けました。

2012/06/07

(1993.04.06読了)(1991.09.30購入)
その病毒は、どこから来たのか
（「MARC」データベースより）amazon
日本および日本人は生きるべきなのか、あるいは生きるべきではないのか-このような根源的な問いをともにたずさえて諸問題を見なければ「時代」は語れない。現代社会に対して激白する、西部邁、栗本慎一郎の対談集。