クラシック音楽自由自在

斎藤晴彦【著】

• 販売会社／発売会社: 晶文社/
• 発売年月日: 1991/03/25
• JAN: 9784794950796

商品レビュー

2014/07/08

2014.7.8市立図書館
クインテットのスコアさんこと斎藤晴彦さん、役者だけれど、うれしいことに本も何冊か残している。
このエッセイ集は、「ビッグコミック・オリジナル」1988年10月20日号〜1990年12月20日号に連載されたもの。毎回CD1枚をとっかかりにその音楽にまつわる個人的感想や考えのあれこれを親しみやすい口調で語る趣向。
指揮者や演奏家にこだわることなく、作曲者についての先入観抜きで、作曲者に断りなくついた標題なども見ないようにして、ベートーベンの音楽って意外と明るいよ、などと教えてくれる。
自分も、そうやって自分の耳だけで無心に聞いてみると、また違った景色が見えてくるかもしれない、という気持ちになる。

「チェロ以外の楽器だってプレイヤーはみんな一所懸命に奏でていますが、わたしは、チェロという楽器に、なんか、孤高のたたずまいを感じ、この楽器に尊敬の念を持ってしまうのです。」（154ページ）
と書いていた斉藤さんが「クインテット」で老チェリストのスコアさんを演じたのもすばらしいご縁、音楽を愛し、知識豊富で茶目っ気たっぷりのスコアさんは斉藤さんの分身のような存在だったのでしょう。ほんとうにはまり役だったと改めて思いました。