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ロビンが跳ねた(上) ラクダと犬と砂漠 オーストラリア砂漠横断の旅
1,282円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 冬樹社/ |
発売年月日 | 1990/01/14 |
JAN | 9784809253263 |
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ロビンが跳ねた(上)
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『自我は砂漠にあってはますます砂漠のようになる。自我は生き延びなければならない。限りなくひろがり、意識によりも意識下に根を下ろし、無意味な習慣を剥ぎ取り、生き延びるための現実にだけ関心を持つようになる』ー『手紙』 脚色が全くないとは思わないけれど、断片的に綴られた旅の記録は饒舌...
『自我は砂漠にあってはますます砂漠のようになる。自我は生き延びなければならない。限りなくひろがり、意識によりも意識下に根を下ろし、無意味な習慣を剥ぎ取り、生き延びるための現実にだけ関心を持つようになる』ー『手紙』 脚色が全くないとは思わないけれど、断片的に綴られた旅の記録は饒舌ではないが故に真実味がある。何かに突き動かされるようにして砂漠を進む魂に降りかかる厄介事も、後から振り返れば一つの物語のように再構築することも出来る筈だけれど、そんなあざとさを感じることもない。延々と続く愚痴や後悔をロビン・デビットソンは書き連ねる。そこには事実が描かれているように見える。 面白いのは途中に挿入される親しい人たちへの手紙の文章だ。そこには狂気に半ば犯されながらも陽気に振る舞い虚構を生み出そうとする物語の主人公としての姿がある。もちろん絶海の孤島ならぬ絶界のキャラバンに郵便配達人が訪れる訳もなく、書き連ねた手紙は投函されずに手元に残る。それはそれで途方もない旅の途中で脳の中で起こった一つの真実だとも思うのだけれど、ロビン・デビットソンはその狂気に頼った文章を綴らない。 オーストリア大陸の中央から西海岸までをひたすら駱駝を牽いて旅をする。かといって極端に文明の利器にストイックになりもしない。その土地の民であるアボリジニの文化に敬意を抱き彼らの知恵にも頼る。内陸の奥地で自然に立ち向かう入植者の優しさを恥じることなく受け入れる。詰まるところこんな大それた旅を続けるには、ありとあらゆる知恵を駆使し利用できるものは何でも利用するしかない。もちろん、駱駝と旅をするという初期設定は十分に文明の利器に対してストイックではあるが、与えれた道具は最大限に使うという根元的に当たり前のやり方を通すところに潔さがあり、それ故妙に後付けの虚構を語る必要がなかったのだろう。 とは言え、旅行記としての面白味は練られたプロットがある訳でもなく、捉えようによっては乏しいと言えるかも知れない。ここにあるのは過酷な環境に晒された一人の人間の脳と身体にに起きた乖離についての記録。それを必死に一つに繋ぎ止めようとする自意識の物語。それを面白いと思うかどうかは、どれだけ一方的に投げつけられる虚構の物語に馴れ切っているか否か次第だとも思う。
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