商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1990/11/29 |
JAN | 9784101162218 |
- 書籍
- 文庫
夕あり朝あり
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3.4
8件のお客様レビュー
五十嵐健治、この人は偉人でありながら、心根が弱い。キリスト教に改心してからすでに10年20年たったときでも、心根が弱い。関東大震災のとき、子どもや妻、従業員を思う余裕もなくひとり一目散に逃げ出したというエピソードなど象徴的である。それゆえに、励みになる。根からの聖人だと、信仰など...
五十嵐健治、この人は偉人でありながら、心根が弱い。キリスト教に改心してからすでに10年20年たったときでも、心根が弱い。関東大震災のとき、子どもや妻、従業員を思う余裕もなくひとり一目散に逃げ出したというエピソードなど象徴的である。それゆえに、励みになる。根からの聖人だと、信仰など凡人には不可能なものと感じてしまうところがあるが、そういうところが少ない。
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白洋舎を起こした五十嵐健治の話だ。これまた、回想風に物語は進む。この手のはあまり好きではないが、著者の作品は好きなので読む。五十嵐は、飽きっぽい性格だったのだろうか、職に就くも、早いときは一時間で逃げ出した。これが、幾度も幾度もあるのだ。ただ、人を信じること厚く、逃げられたと思っ...
白洋舎を起こした五十嵐健治の話だ。これまた、回想風に物語は進む。この手のはあまり好きではないが、著者の作品は好きなので読む。五十嵐は、飽きっぽい性格だったのだろうか、職に就くも、早いときは一時間で逃げ出した。これが、幾度も幾度もあるのだ。ただ、人を信じること厚く、逃げられたと思っても、それでもいく日も待ったりするのだった。20歳になるまでは、一攫千金を夢見て、東京に出たりしたが、これが職が続かず、逃げ出してしまうのだ。ただ、その一攫千金も、自分のためではなく、親を、母親を楽させてやろうとのことだったので、憎めないのだ。 五十嵐は、つてを頼り三井呉服店(後の三越)に入る。ここでも人に恵まれ、10年近く勤め、白洋舎を立ち上げる。日本で初めてドライクリーニングの事業を始めた。順風満帆ではなかったが、何とか事業も軌道に乗った創立10年目に目をかけていた社員に裏切られ会社の信用も地に落ちた。五十嵐は全く平静を失ったが、妻の一言で目が覚めた。「私たちは人には捨てられたが、神には捨てられない」と。 聖書をあけ、読んだ。愛する者よ、自ら復讐すな。ただ、神の怒りに任せまつれ。しるして、「主言い給う、復讐するは我にあり、我これを報いん」とあり、もし汝の敵飢えなばこれに食わせ、渇ばこれに飲ませよ。と。 人間、順調にことが運ばれてきている時の方が、思うようにならぬ時よりも危険なのだろう。思うようにいかぬ時は謙遜であり得るが、意のままになる時は自分自身の才や努力を誇って傲慢になる。そんな時、神はその傲慢を打ち砕くよだろうか。ただそこには愛があり、また、自分を取り戻すだろうことを期待しているのだろう。神はバチを与えないから。
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白洋舎という名前は昔から知っていたけど、その創業者がこんな人生を歩んできていたとは思わなかった。特にあちこち流浪していた頃の行動力には驚く。
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