![とはずがたり(下) 講談社学術文庫](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001205/0012051177LL.jpg)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1987/08/10 |
JAN | 9784061587960 |
- 書籍
- 文庫
とはずがたり(下)
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とはずがたり(下)
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
下巻の前半は二条と有明の月と院とのことが語られます。 有明の月は、ストーカーみたいだなと上巻で思ったのですが、下巻になると一途に二条を想っているようすで、院とは全然違う愛しようです。かなり愛が重めですが、院とか亀山院の変態ぶりを先に読んでいるので、全然ましです。ただ、上巻の起請文さえなかったら、と。また、僧侶ですから、二条とおおっぴらに仲良く家庭を持つわけにもいかないけれど、もう少し長生きしてくれたら、と思います。 雪の曙にしても有明の月にしても、二条は後深草院の寵を得ているので、平和に愛を育むことはできないのでしょうし、華やか好きで、ブライドの高い二条は、(正式には無理ですが)結婚して御所を出る気はないのではないかとも思うので、平穏な生活はどちらにせよ難しかったでしょうか。 巻四では、出家(この前後のことは書かれていない)後、あちこち旅をするのですが、巻一、二、三とは随分違う印象です。変な男女関係の描写もないし、安心して読めます。でも、やはり作者二条のプライドの高い所がおりおり見えて、また、落ちぶれた境遇や悲しさなども、あちこちで感じられます。 二条のような華やかで波瀾万丈の人生でなくても、べつに落ちぶれなくとも、中年以降はこんな気持ちも分かるな、とも思いました。 しかし、二条はよくこんなに旅をしたものです。多分そんなに豊かではなかったと思います。京にいたくなかったのかもしれないし、信仰心もあったとは思いますが、なにせ、やはり丈夫だったから可能だったんだろうなぁ。そして、気持ちも強かったんでしょうね。 私がとはずがたりの中で、もっともうるっときたのは、亀山院が亡くなる頃、熊野で見た作者の夢です。ほかの人はどうだろう、こんなところでうるっとくるのかどうかわかりません。夢の描写がまるで、自分の夢を思い出しているかのように思えて、生々しさを感じました。作者は自分を愛おしんだ父のそばにおり、院とは本当に心通わすとはいかなかったけれど、夢の中での院はご機嫌で、自分を召している。院の愛娘である遊義門院は作者を労ってくれる、というもの。作者は、あぁ、現実がこうだったらなって思ったことでしょう。すべては叶わなかったと思うと不憫です。 やはり、作者二条は前半宮廷編でも後半遍歴編でも、自分のことを誰かに知ってほしかったんだろう、と思います。前半は、自分の子供たちかもしれないし、後半は遊義門院かも知れない。 実際に身近に親しく付き合う人でもいて、自分を理解してもらっていると思えば、この回想録を書かなくてもいい気もするんですよね。プライドが高いから、落ちぶれた身でそんな心からの親しい付き合いはしないかな。だから、今も高い身分でいる自分の子供たちや遊義門院に、華やかな自分や精力的に信仰の旅をした自分を残そうとしたのかなと思います。 奔放に生きた女性といえば、そうですが、決して幸せではなかった。でも、この日記が世にでて、二条の人生を読む人がたくさんいるんだから、良かったね、二条、と言いたいです。
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(2016.04.16読了)(2016.02.09購入)(1991.12.01・第4刷) 瀬戸内晴美訳の「現代語訳とわずがたり」を読んだのですが、巻四、巻五の部分が抄訳になっていましたので、巻四、巻五の部分を読むためにこの本を購入しました。 一定のまとまりごとに、原文、現代語訳、...
(2016.04.16読了)(2016.02.09購入)(1991.12.01・第4刷) 瀬戸内晴美訳の「現代語訳とわずがたり」を読んだのですが、巻四、巻五の部分が抄訳になっていましたので、巻四、巻五の部分を読むためにこの本を購入しました。 一定のまとまりごとに、原文、現代語訳、注、解説、という形で構成されていますが、現代語訳と解説の部分のみ読ませてもらいました。 現代語訳の部分は、できるだけ原文に沿って訳してあるので、多少読みづらい部分もあるのですが、原文の雰囲気を感じながら読むには、いいかもしれません。 著者は、後深草院に寵愛されていたのですが、他にも三人ぐらいから言い寄られて、お相手をしています。心を通わせている人もいるし、立場上やむを得ずという人もいるし、熱心さに負けてという人もいるようです。 後深草院は、何人かについては、感づいて、嫉妬しつつも会ってきたらと寛容なところを見せたりもしています。 とはいえ、後深草院には、正室やら側室がほかにいますので、どの筋からの言いがかりかで、御所から追い出されてしまって、以前から望んでいた出家をしてしまいます。 出家ののちは、熱田神宮で写経をしたり、鎌倉まで足を運び、さらに善光寺までもお参りに行きました。 鎌倉では、御所での経験を買われ、御所風の衣装のアドバイスをしたりしています。歌会などにもよばれています。時代は、元寇の直後ぐらいです。 いったん京都に戻り、奈良の春日大社、伊勢神宮、二見ヶ浦などを訪れています。 しばらく間をおいて、今度は、厳島神社や四国へも足を延ばしています。 東国、西国への旅は、西行の旅を意識してのことのようです。 「とはずがたり」は日記文学と言われますが、『蜻蛉日記』と同様の強烈な印象を残す作品と思います。 この本を読んでいると、男女は、自由に番い会うのが普通なのかな、とか思ってしまいます。実際にそうしている方々もいるのでしょうけど。 【目次】 あらすじ 巻三 巻四 巻五 系図 年譜 地図 作品解説 補注 あとがき ●足摺岬(353頁) 坊主はつらく悲しくて、泣く泣く足摺をしたところから、足摺の岬というのです。 ●「とはずがたり」(477頁) 先行のどの日記文学よりも素材もスケールも大きく、多様性があり、思想も表現も自由である。日本古典の豊かな抒情性を踏まえながら、現象の正確な把握、物事の核心に迫ってゆく理知的な手法など、近代的な写実性さえ持っているのは特筆に値する。 ☆関連図書(既読) 「現代語訳とわずがたり」後深草院二条著・瀬戸内晴美訳、新潮文庫、1988.03.25 「古典の旅 とはずがたり」富岡多恵子著、講談社、1990.01.16 「とはずがたり」いがらしゆみこ著、中央公論社、1995.05.25 (2016年4月17日・記) (「BOOK」データベースより)amazon 後深草院の特異な愛情のもとに寵遇されながら、西園寺実兼・法助法親王らとの愛欲生活を綴った上巻から一転し、下巻は作者後半生の、女性として稀有な長途の旅を記す。宮廷生活に訣別して出家した作者二条は西行の修行を慕い、鎌倉をめざす東海道の旅を手始めに、信濃・奈良・伊勢・また中国路など、当時の貴族女性としては驚異的な規模で諸国を遍歴する。『蜻蛉日記』をしのぐ個性と凄絶な迫力あふれる、注目すべき女流文学作品。
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紀行文の章で、河越の入道と申す者の後家の尼が、武蔵の国川口という所へ下向するという。そこは、このように都からいよいよ隔たった田舎びた有様で、前には入間川とがが流れている。川向いには岩淵の宿といって遊女たちの住みかがある。 まさか埼玉ネタが出てくるとはびっくりしました。岩淵は赤羽岩...
紀行文の章で、河越の入道と申す者の後家の尼が、武蔵の国川口という所へ下向するという。そこは、このように都からいよいよ隔たった田舎びた有様で、前には入間川とがが流れている。川向いには岩淵の宿といって遊女たちの住みかがある。 まさか埼玉ネタが出てくるとはびっくりしました。岩淵は赤羽岩淵の辺りでしょうか?そうだったのか。
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