蒼いくちづけ 光文社文庫

神林長平【著】

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 1987/07/20
• JAN: 9784334705824

商品レビュー

2010/05/28

舞台は月都市ですが、…

[文庫ＯＦＦ]

舞台は月都市ですが、思考や背景は「ライトジーンの遺産」に共通するものがあります。ライトジーンよりさらに刑事もの。誰が主人公でもおかしくないくらい警察側の人間はかっこいいです。欲を言えばサイデック・OZの過去やブートタグとの因縁とかをもっと書いてほしいかったなぁと思いました。Ｐ数が２５０程なので読み終えるのが惜しい気持ちでした。氏の作品にしては機械や哲学的なところがあまり出てこないので読みやすいと思います。“ダイヤモンドのように硬く、純粋で、美しい”殺気を放ち続ける少女の魂を救う、どこか切ない童話のような物

2008/04/27

これは後でハヤカワ文庫にも収録されてしまったけれど、光文社文庫の時の表紙が凄くよかった。ついでに、同じ時期に出た『ルナティカン』も良かった。

この作品は物凄く好きだけれど、神林作品の中では一番一般受けしそうな話だという気もする。
ちなみに、学生時代に付き合ってた人が一番ハマったのもこの『蒼いくちづけ』だった。

何がいいって、やはり主人公だ。クールというか、ニヒルというか。でも、心の奥底はかなりナイーヴ。そして、究め付けに無愛想。
主人公オズが余りにカッコよすぎるので、★５つ付けるわけにはいかないと思ったりもするのだ。

人の記憶や思念は、体のどこに残るのか――という着想は、文系の自分には当時は全く馴染みのないものだったが、最近、脳科学の本など齧ってみると、さほど荒唐無稽な考えでもないのだな〜と思えるようになってくる。
神林作品にしては非常にわかりやすいロマンチックが散りばめられている。好きだけど、好きというのが恥ずかしい作品でもある。な。