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皇帝ハイレ・セラシエ エチオピア帝国最後の日々
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 1986/03/10 |
JAN | 9784480852977 |
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皇帝ハイレ・セラシエ
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皇帝ハイレ・セラシエ
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まるでおとぎ話を読んでいるような。 エチオピア最後の皇帝ハイレ・ソラシエの身近に仕えた人々が主観のみで語っているため、 私にはそれぐらい浮世離れした話だった。 いや、現代離れか。 全く学校教育を受けず、読書の習慣もなく、書類も読まず、驚異的な記憶力を持つ皇帝。 口頭で物事を伝...
まるでおとぎ話を読んでいるような。 エチオピア最後の皇帝ハイレ・ソラシエの身近に仕えた人々が主観のみで語っているため、 私にはそれぐらい浮世離れした話だった。 いや、現代離れか。 全く学校教育を受けず、読書の習慣もなく、書類も読まず、驚異的な記憶力を持つ皇帝。 口頭で物事を伝えさせ、聞きたいことだけを聞く。 不明瞭な言葉で指示を出し、良い結果は皇帝の物に、悪い結果は書記大臣のせいに。 帝国内の10ドル以上の支出はすべて承認が必要とし、 早朝の散歩の最中に告げ口を聞き、 能力よりも忠誠心、卑屈さをもって臣下とする。 しかし、 皇帝以前のエチオピアは、 軽犯罪にも手足を切り落とし、殺人の告発には肉親による内臓えぐりだす、 薬で酔っぱらった男の子に泥棒の指摘させ、 軍隊で町ごと取り囲んでの違法行を摘発するといった 残虐な習慣がはびこり、奴隷貿易が横行する前近代国家だったらしい。 そこに、電気、自動車、銀行、新聞といった文明を持ち込み、 若者を海外留学させたことが、帝国終焉の遠因となったあたりは、 啓蒙主義によってパンドラの箱を開けたという ロシアの女帝エカチェリーナ2世を彷彿させる。 そして、 そんな皇帝を無条件に崇めていた語り手たちを、 愚かだと決めつけることができない自分がいる。 現人神を崇めていた戦前の日本人もこれに近かったのだろうか。 私は、自分を取り巻く現状に、常識に、時代の流れに抗って、 自己の頭で考えることはできているのだろうか。 本当に側で世話をしていた人たちの言葉だけで、 なんの解説も、なんの考察もないが、 皇帝の横顔がくっきりと浮かび上がる不思議な作品だった。
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