商品レビュー
5
1件のお客様レビュー
20世紀「イドメネオ」演奏の総決算
モーツアルトの当時、オペラと言えば何といっても『オペラ・セリア』というのが人々の共通認識でした。彼のオペラの中で、当時でも人気やヒットの度合では「フィガロ」がやはり一番でしたがこちらは『オペラ・ブッファ』。君侯の戴冠や結婚に欠かせない言わば「式楽」で依頼主に目一杯お世辞が使え、列...
モーツアルトの当時、オペラと言えば何といっても『オペラ・セリア』というのが人々の共通認識でした。彼のオペラの中で、当時でも人気やヒットの度合では「フィガロ」がやはり一番でしたがこちらは『オペラ・ブッファ』。君侯の戴冠や結婚に欠かせない言わば「式楽」で依頼主に目一杯お世辞が使え、列席の各国大使や貴族の大評判を取ればそれこそ太鼓判とお墨付きをダブルで貰う様なもの。博学で知られる高僧に台本を依頼し、バイエルン侯のフランス好みやスーパーオーケストラの宮廷楽団を念頭に、若いモーツアルトが力一杯作曲した「イドメネオ」、かつて無い豊かさと多様さを持ち、壮麗にして典雅なこのオペラ、しかしスター歌手も集めた初演の評判は「まあまあ」と言った所。別に曲がどうとか言うのでは無いのです。聴衆のうかない反応の原因はズバリ、『作曲者がイタリア人じゃなかったから』!…つまり当時の人にとって、イタリア人が作曲したセリアでありさえすればそれで良かったのです。そんなところでこのレヴァインの演奏は、それまで全ての録音の総まとめとも言うべき水準を示し、来たるべき時代の新たな地平を規定するイドメネオ演奏の重大な一里塚として、先ずは持っておきたいアルバムです。
寒太郎