「真」犯人

石持浅海(著者)

• 販売会社／発売会社: 祥伝社
• 発売年月日: 2025/10/10
• JAN: 9784396636869

商品レビュー

2025/12/01

2025.12.1読了。
真相を探すのではなく、真相を作るという構図が、いかにも石持さんの作品らしかったです。

2025/11/27

　芸術家として成功していない各分野の芸術家達が集まる芸術村。

　卒業条件は35歳になるか芸術家として成功することのどちらか。

　35歳になったロダンさんとのお別れ会の翌日、ある部屋で一体の村民男性の死体と手首を切って自殺を図り気を失っている女性の死体を発見する、スタッフの丁稚さん。

　村長とスタッフ達を呼んで現場の状況を確認した結果、下された結論はある理由から、別の村民に犯行をなすりつけて冤罪を作り上げること。

　果たしてうまく誰かに罪をなすりつけることができるのか。

　という作品。

　まず、はじめに書くと、私はこの作品は合わなかったです。

　作品の半分以上が冤罪を作り上げることに注がれているわけですが、狂気以上に、冤罪を作り上げる背景が私は弱すぎるんじゃないか？と思うし、ミステリーである以上、どうしても読みながらいろいろ疑ってしまうので、冤罪を作り上げる過程がどうしても滑稽に感じてしまいました。

　冤罪を作り上げる理由は書かれてはいますが、その理由を受け入れられるかどうかというのが、本作品の評価の分かれ目になるのかな？と思います。

　とはいえ、リアルな話でいくと、瞬間的に死体と自殺者（気絶）が目の前にいる状況ではこの感じはありなのかな？と思います。

　しかし、前述したようにミステリーとして読んでしまうと、いろいろ疑って読んでしまうので、全然本題と違うような方向に話が向かっているのを見せられる感がありました。

　最後も結論、「芸術家だから」みたいな締め方なんで、それで良いのか？というのもあります。

　ただ、これは読後の私の感情の結果論です。

　読んでる途中は、この話どんな展開を見せていくのか、先へ先へ読みたくなる感じは確かにあるし、どこかコミカルな感じも読みやすい感じでもあったので、そこは楽しく読めたなと思います。

2025/11/25

冤罪を“晴らす”ために奔走する話ならいろいろ読んだけど、冤罪を“かける”ために脳みそをフル回転させる話は初めてだった。
通常ならあり得ない事も芸術家の卵を支援するこの『芸術村』で起きた事件であれば成立する、
と何故か私も思ってしまうから不思議。
犯人をでっち上げて無事解決…しないところがまた面白くて一気読みした。
読めそうで読めない展開が良い。
でもホント書生さん（一般人）が居てくれて良かった、と心底思ったわ。