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2015/10/25

これまでの路線を踏襲しながら主人公の立ち位置が変化

夫や彼氏ある身のヒロインを最終的には寝取る形でこれまでストーリーを展開してきた作者が、初めてだろうか、今回は主人公の立ち位置を変えて違った結末を描いたことで新味が出た作品と言える。 21歳の主人公が大人の女性に一目惚れし、想いを募らせ、というか拗らせ、若さに任せて突っ走る、...

夫や彼氏ある身のヒロインを最終的には寝取る形でこれまでストーリーを展開してきた作者が、初めてだろうか、今回は主人公の立ち位置を変えて違った結末を描いたことで新味が出た作品と言える。 21歳の主人公が大人の女性に一目惚れし、想いを募らせ、というか拗らせ、若さに任せて突っ走る、脇目も振らず暴走するといった、まさに若気の至りが描かれており、既に形成されている大人の関係に楔を打ち込もうにも動かず、その絆は揺るがず、最後は敗北を認めざるを得ない虚しさがそこにはある。しかし、敗北を知らしめられるまでは諦められず、何よりヒロインの気持ちをずっと計りかねている間は想いを爆発させ続ける主人公が、どうにかして自分に振り向かせたいと時と場所を変えて責めに責め立てており、これが官能面を引き立たせる構図となっている。 心を通わせている人がいるとはいえ、訳あって体は満たされていないヒロインが「求めに応じているだけ」と言いながら主人公との逢瀬を悦びに変えているのはズルいなぁと感じるところではあるが、それでもやはり扇情的で淫猥度の高い官能描写が次々と出てくるし、何より向上した作画力で描かれるヒロインの佇まいと作中の存在感がかなり魅力的だけに、読み手としてはこの複雑な三角関係を主人公の側に立って応援しつつも思わず傍観するような、そんな読み方もしてしまうところだろうか。それとも優しさと思いやりを見せる「心を通わせている人」が刺激を受けて発奮した姿にある種の共感らしき思いを馳せてしまうだろうか。 と言うのも、壮年以上の読み手ならば(本作のような体験ではなくとも)自身に「若気の至り」の1つや2つは身に覚えがあり、ほろ苦さは残りながらもそれは1つの思い出として後の主人公が振り返る姿に同調できるからであり、同時に、相方に不憫な思いをさせてはいないだろうかという気持ちにも同調できるからである。もっとも、実は彼氏に相手にされないというサブヒロインがいて、その彼女からも「代役」扱いとなっている主人公には同調したくないものである。 もしかしたら、人によって本作はちょっと触れたくない青春のノスタルジーが苦笑いとともに思い起こされるような、そんな作品でもあるのかもしれない。

DSK

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