ミチルさん、今日も上機嫌

原田ひ香(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2014/05/24
• JAN: 9784087715613

商品レビュー

2024/07/28

毎朝、別れた男からのメールを待つミチル。
可愛い表紙の印象と、物語の冒頭部分を読んだ時、20代女性の話かな？と思った。しかしミチルは45歳。
女子大生ブームもバブルも経験して、離婚歴あり、職を転々とし男にフラれて仕事を辞めた無職まっただなか。
私は40だが、もし私が20代のメンタリティで今も生きていたなら？と夢想して、ぞっとした。
自分自身が20〜30代で自己認識と他者からの見られ方に苦しんだ時期もあり、恋愛や生活の不安定さに振り回された時期があったから、もしあの状態が今も続いているなら？と想像したら、こわくなったのだ。

タイトルは「上機嫌」とあるが、ミチルはゴキゲンな人ではない。
生活に不安を抱いているし、別れた男のことを引きずったり、元夫に複雑な感情を持っていたりする。
ただ、ポスティングのバイトをはじめて、不動産交渉の仕事をするようになり、誰かに必要とされること、喜んでもらえることが、ミチルの中でウエイトをしめていく。結局、人間は他者とのかかわりのなかで生かされているんだと、私も思います。

ところで、この本のなかでは不動産価格は下がり、家賃も下がり…となっているけど、今やバブルをこえるほどの不動産の急騰。家賃も上がり続けている。
どちらの状態が正しい姿なのだろうか。
今の情勢では成立しないお話だけど、バブル期と同じで「こんな時代もあったのよ」という語り草にはなるよね。

2024/01/06

45歳独身バツイチの主人公。
年齢だとか、結婚歴だとかで、人の価値をなんとなく想像するところがあるな、私は。
この主人公は、前半はかなり痛々しくて、見ていられなかった。別に自分の立場を客観的に見ろ、って言いたいわけではないけれど、等身大の自分を受け入れて、そこから一歩進めることもあるんですよね。

出会う人たちとの対話で、気付いたり、行動したり、変化が生まれる。だから、素直に過ごせるようになろうと思いましたとさ。

2023/10/15

バブル時代を生きてきた45歳バツイチ女性が職をなくし、地道にバイトをしながら自分の足で道を切り開く話。
序盤は女性の見た目にばかり価値を見出していて読んでいて不快な場面もあるが、チラシ配りのバイトや家賃交渉の代行を通して価値観を改めていく様子に感心した。ミチルさんの場合は交渉術など、自分の得意分野を活かして働くことでみんなハッピーになれると思う。
家賃交渉については普通に勉強になった。交渉次第で毎月の固定費が下がるのは大助かりなので、自分の住んでいる場所の家賃相場は定期的にチェックするのが良さそう。