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2026/05/07

ひとつの概念がすでに多数の概念を持っている。その思想を裏付け、実践するためにジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリは共同作業で『アンチ・オイディプス』を書いた。共同であること。二人で一つの本を書き上げること。もはやそれが当たり前のもの――習慣の一部となるレベルで身に染み込ませるた...

ひとつの概念がすでに多数の概念を持っている。その思想を裏付け、実践するためにジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリは共同作業で『アンチ・オイディプス』を書いた。共同であること。二人で一つの本を書き上げること。もはやそれが当たり前のもの――習慣の一部となるレベルで身に染み込ませるために。やがて本はどちらがどちらの文章なのか見分けの付かないものとなる。それは「私」の認知を希薄化させる効果を持つ。希薄化した「私」はもはや”私”という一人称を持ち得ない。私は「我々」となり、私と言うか言わないかは重要でない地点へと到達する。それが生成変化である。 当然そのやり方は、他の人間にも可能だ。だからドゥルーズは『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』の間でクレール・パルネとともに本を書く。これまで積み重ねてきた自身の哲学を自身(と別の誰かとともに)で語るために。 本書は、全5章で構成されており、1章ごと前半と後半に別れている。前半をドゥルーズが、後半をパルネが書いたとされるが、語り手のサインは第1章で示されるのみ。そのため2章以降はどちらの文章をどちらの人物が書いているかが不明確な状態となり、読み手側にとっても「一人であり多数」の人物が語っている「彼ら」の言葉――その在り方が見えてくる。 論じられる事柄はあらゆる方面へ飛び、まったく無関係に感じられることへどんどん話が移っていくため難解を極める。哲学者と精神科医が各々の知識を用いてフリースタイルバトルを行ったらこんな風になるのかもしれない。とはいえひとつひとつの文章はさほど難しくない。独自の哲学用語が使われはするので事前にドゥルーズの哲学について下調べしておいた方がいいとは思うが、それよりも、ここでは文体のリズムをこそ重視すべきだろう。文庫解説でも書かれてるとおり、本書は「読み飛ばしを推奨する」本なのだ。つまりこれは、あらゆるものを並列に据え置きフラットに語る。そのことを実践した文章であり、一文一文を咀嚼することよりも、「ひとつで多数」という状態に置かれた語り手たちがどのような文体を持ち得るのか。という部分を読み手へ手渡すための本と言えるのだ。 藤子不二雄も、ウィリアム・ギブスンとブルース・スターリングも、伊藤計劃と円城塔も(屍者の帝国ではなく『ディファレンス・エンジン』の解説において)二人で一人という状態に身を置き作品を作り上げた。 だから、その複数であるからこそ到達できる別の位相というのはとても面白く、なじみ深いものであるようにも感じた。なおかつ、哲学者による対話(=ディアローグ)で実践した場合このようなリズムが生まれるのだという点において私にとっては新しい。読み進めることで、語り手たちが生成変化していく書物。そしておそらくは、読み手自身にも生成変化のきっかけを与える書物。『ディアローグ』はそのような企てをもって書き上げられた。

Posted by ブクログ

2012/10/28

言語は支配の道具で、それを用いるだけで支配に加担していることになる。 訳のわからないことを語ることの大切さ、難しさや創造性。 男女関係は、空気の振動が衝突しているようなもの… 不勉強な私に理解できるというような本ではありませんが、不思議と読むと元気が出ます。 ですが、そんな読み...

言語は支配の道具で、それを用いるだけで支配に加担していることになる。 訳のわからないことを語ることの大切さ、難しさや創造性。 男女関係は、空気の振動が衝突しているようなもの… 不勉強な私に理解できるというような本ではありませんが、不思議と読むと元気が出ます。 ですが、そんな読み方でいいみたいです。

Posted by ブクログ

2012/03/25

ハードカバーも2種類出ていて、すでに1冊持ってるんだけど、あとがきのこの言葉がいかにもドゥルーズの本らしくて、つい買ってしまった。 「本書は"読み飛ばしていくのが望ましい"書物である。・・・なぜなら、著者は、本書の意図や内容を正しく理解することよりも、本書の...

ハードカバーも2種類出ていて、すでに1冊持ってるんだけど、あとがきのこの言葉がいかにもドゥルーズの本らしくて、つい買ってしまった。 「本書は"読み飛ばしていくのが望ましい"書物である。・・・なぜなら、著者は、本書の意図や内容を正しく理解することよりも、本書の思考のリズムと共振することのほうを求めているからだ。・・・だとすれば、本書は読了後も書棚に配架するのでなく、枕許、テーブルの上、ズボンのポケットなど、すぐに手の届く範囲に置いておくのがよいだろう・・・」 ハードカバーじゃそれはできないもんね。

Posted by ブクログ

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