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2010/05/20

初期の復刻にして『たとえば母が』の原典

作者の成年コミックとしてのデビュー作にあたる『久枝さんの背徳日記』と、これを本格執筆した『主婦久枝の日記』を上・下巻に纏めたうちの上巻。冒頭16頁のカラーイラストギャラリー以外に書き下ろしは無いので、既読の諸兄が改めて買うにはどうかとなるが、これを機に作者の原点に触れてみようとい...

作者の成年コミックとしてのデビュー作にあたる『久枝さんの背徳日記』と、これを本格執筆した『主婦久枝の日記』を上・下巻に纏めたうちの上巻。冒頭16頁のカラーイラストギャラリー以外に書き下ろしは無いので、既読の諸兄が改めて買うにはどうかとなるが、これを機に作者の原点に触れてみようというには有意義となろう。後の長編シリーズであり代表作となる『たとえば母が』の原典にして原点でもある。 芥川久枝:清楚な「母」にして妖艶な「女」でもある34歳の女教師ヒロイン 芥川修司:母の情事を目撃し、日記を目にすることで母に「女」を見る息子 滝岡:高校在学時より久枝との爛れた関係が続く、かつての教え子 夫の長期海外出張中に教え子の滝岡から熱烈告白されるのが物語の始まり。最初はライトな雰囲気だが、話が進むに連れて背徳感たっぷりのシリアス展開に変わっていく。前半たる本巻では、久枝の日記を読む修司を仲介した過去回想をメインにしており、校内や滝岡の自室で乱れに乱れまくる久枝の官能描写がずっと続くことになる。別の男との関係を主人公が指を咥えて見るしかない状況に読み手も一緒に晒され、悶々としながらも興奮させられる、物語前半の演出がこの頃から発揮されている。息子に内緒の関係に溺れる母が、別の男の前では淫蕩かつ貪婪に化ける秘密の本性を覗き見るいやらしさに溢れており、これにサイドストーリーやオプションを加え、さらに練り直して『たとえば母が』に繋がっていくことが再認識できる。 作画はさすがに初期と思わせるものだが、その線描の細さや粗いタッチに反して、思いの外違和感が少なくて不思議。コミカルな番外編(2編)は『久枝さんの背徳日記』に収録の短編で、本編から5~6年前の一コマ。画家志望の甥まで食べちゃう久枝さんのはっちゃけぶりが『ミツコさん』を彷彿とさせる。

DSK

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