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壮絶なまでの「牝」を見せる母への情愛と決意
芥川久枝:今も続く滝岡との関係で「女」から「牝」に 芥川修司:日記に続きビデオまで目にして母の美しき痴態への葛藤が鮮明に 滝岡:ビデオ内や終盤で久枝との壮絶な交わりを見せる 後半のクライマックスは息子修司との心と体の交流となろうが、その前に展開される、ビデオ内で滝岡の責...
芥川久枝:今も続く滝岡との関係で「女」から「牝」に 芥川修司:日記に続きビデオまで目にして母の美しき痴態への葛藤が鮮明に 滝岡:ビデオ内や終盤で久枝との壮絶な交わりを見せる 後半のクライマックスは息子修司との心と体の交流となろうが、その前に展開される、ビデオ内で滝岡の責めを受け止める久枝の乱れっぷりが凄まじい。主に付き合い始めの頃だった上巻では、一時「母」を忘れてもまだ「女」に留まっていたが、現在を撮影したビデオでは最早「牝」である。お尻もがっつんがっつん責められて昇天しまくりの痴態を目にする修司が痛ましい。また、この時の修司の姿を目撃して驚嘆する久枝もまた苦悩するのだが、こうした母子それぞれの葛藤の果てに想いが交錯する場面がやってくる。しかし、これで終わらないのが本作であり、後の青年コミック長編シリーズ『たとえば母が』との決定的な違いである。本作の結末は、まだ母子相姦の禁忌がダークだった頃の空気を感じるもので、これを鑑みて、あるいは「本当はこうしたかった」との思いから改めて仕切り直したのが『たとえば母が』のようにも思われる。最後まで「母と子」だった久枝と修司、やはり淫猥な「男と女」だった滝岡と久枝。この違いを痛感し、未練を残しつつも母のために決意した修司によって結ぶことで、より一層の切なさと重厚な余韻を残すことに繋がったと思う。また、こんな修司のために用意されたかのような後日談【修司と香奈子】では溜飲を下げるのだが、男が求める母性の矛先の同位性には思わず同情的苦笑もしてしまう。久枝さんの学生時代(20歳)にして「牝」の素地ともなった特別短編【若かりし久枝さん】や、修司の心情がフラッシュバックする16頁のカラーイラストギャラリー【久枝背徳日記 絵物語】も同時収録。
DSK