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2010/06/11

作者お得意の設定とストーリーを姉弟で描いた前編

作者の代表作である青年コミック長編シリーズ『たとえば母が』の執筆中に出されていることから、この姉弟版と言うこともできるし、成年コミックのデビュー当初に描いた一連の久枝さんシリーズの姉弟版とも言えそうな作品。要するに、作者が最も得意とするシチュエーションとストーリーである。ただし、...

作者の代表作である青年コミック長編シリーズ『たとえば母が』の執筆中に出されていることから、この姉弟版と言うこともできるし、成年コミックのデビュー当初に描いた一連の久枝さんシリーズの姉弟版とも言えそうな作品。要するに、作者が最も得意とするシチュエーションとストーリーである。ただし、本作は『かすみの杜』や『となりのとなりのお姉さん』といった、どちらかというと軽妙な路線でコンビを組んだみなかみゆう原作作品。もしかしたら『たとえば母が』辺りをベースに、みなかみ氏が姉弟に置き換えたストーリーを全16話で紡ぎ直したのかもしれない。その前半たる本巻には第9話までが収録されている。 本作の姉は義姉、つまり兄嫁ではなく10歳年上の実姉である。大学へ進学した主人公が、結婚した姉夫婦の元に居候として住み込むこととなり、2年振りに再会したところから物語は始まる。後は、夫婦の営みを覗き見てしまう主人公、悶々とするうちに大学で知り合った“姉に雰囲気の似た”同級生と恋仲にり、姉の身代り的に体を重ねる主人公、それを覗き見てしまい、弟の気持ちに気付いてしまう姉という展開で進むが、終盤で出てくる同級生の母という「第3の女」が物語のフックになって後半に繋いでいる。姉に対する後ろめたさに同級生に対する裏切りが重なる主人公である。また、清楚だった姉が夫に開発されて淫らに豹変していたことや、同級生に姉の衣服や下着を着けさせる主人公の歪んだ交わりなどが官能要素のトピックとして挙げられよう。姉 → 女 → 牝 という淫猥さが、悶々と蠢く主人公の心情と共にいやらしく描かれている。

DSK

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