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商品レビュー

3.8

15件のお客様レビュー

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2010/05/28

8編収録の短編集。中…

8編収録の短編集。中でも密室ものの名作と名高い「犬のお告げ」はあっと驚くトリックが待ち構えています。この1篇を読むためだけにも買う価値アリ。

文庫OFF

2017/02/28

twitterで「なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない」というチェスタトンの名言がやたら流行っていたのを見て、この本を思い出し再読。その昔ミステリーのタネばかりを解説した本を読んだ時に「犬のお告げ」が印象に残ったのを覚えている。今読むとブ...

twitterで「なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない」というチェスタトンの名言がやたら流行っていたのを見て、この本を思い出し再読。その昔ミステリーのタネばかりを解説した本を読んだ時に「犬のお告げ」が印象に残ったのを覚えている。今読むとブラウン神父の持って回った話し方がまどろっこしいが、刊行されたのが1926年というから当然かと思う。

Posted by ブクログ

2016/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

さて第3短編集である。 本作はいきなり「ブラウン神父の復活」というセンセーショナルな題名の短編で幕を開ける。本稿を著すために色々調べた際に知ったのだが、前作『~知恵』からなんと12年のブランクを経ての刊行だったようだ。そういう背景を知るとこの短編の意味するところも解る。2作で辞めるつもりだったチェスタトンの復活宣言だったのだろう。 で、その「ブラウン神父の復活」だが、いきなり神父が死ぬという展開が衝撃的だ。短編集の初頭にいきなり主人公が死ぬ話である。とはいえ、結局は単なるファース(笑劇)に終わってしまうのだが。この趣向からも作者が愉しんで書いていこうという姿勢が現れている。 本作で個人的ベストを挙げるとすれば続く「天の矢」と「犬のお告げ」となる。 しかし「天の矢」はカーも某作で使っているトリックであり、日本作家の作品でも見られるほど有名なトリックだ。私は確かこのトリックを藤原宰太郎氏の推理クイズ本(綾辻氏も云っていたが、本当にこの本の犯した罪は重い。今は全て絶版になっているようだが)で知っていたという前知識があったので看破したが、それでもなお面白いのはトリックを彩る物語・設定の妙だろう。 「犬のお告げ」は最初意味が解らなかった。特定の出入り口しかない建物で起きた密室殺人を扱っているが、その犯行が犬のお告げとも云うべき鳴き声で暴かれてしまうという内容。しかし再読してみて、この重層的な構成の面白さがじわじわとこみ上げてきた。偶然に頼った部分も大きいが、こんな事を考えるのはやはりチェスタトンぐらいだろう。 名高い「ムーンクレサントの奇跡」は複層階の最上階で起きた人間消失と全く違う場所で見つかった消失した人間の死体というすこぶる魅力的な謎だが、前述の推理クイズ本に図解で解説されていた記憶があり、その時点でもう興趣は削がれるが、全く知らないとなると案外楽しめるのではないか。今でも記憶に鮮明に残っている作品だし。しかしこの真相に納得できるかどうかは別だが。 「金の十字架の呪い」はその題名の示すとおり、オカルティックなムードが横溢しているが、真相はなんとも子供騙しといった感じ。 「翼ある剣」はもう1つの「シーザーの頭」とも云える作品。ある資産家に養子として迎えられた男がその後その夫婦に3人の子供が生まれたため、追い出され、遺産相続できなくなった恨みを3人兄弟のたった1人の生き残りの兄弟を殺して晴らし、遺産を手に入れようとする話。この作者ならではの逆説的解明が成されるが、かなり犯行は際どい。 7代ごとの当主は午後7時に自殺する呪いがあるというカーの諸作を思わせる「ダーナウェイ家の呪い」。そして午後7時に当主が死ぬのも定石どおり。明かされる真相はなかなか心理的錯覚を利用していて面白い。 最後の「ギデオン・ワイズの亡霊」は死んだと目されていたギデオン・ワイズをその後街で見かけたという男が現れ、その男は亡霊に悩まされるならばということで自分が殺したと自白する。しかしその後、当のワイズが転落した崖の裂け目から現れ、その男を許すといい、事態は一件落着かと思われたが・・・という話。明かされる裏側のストーリーはけっこう複雑だ。 さて本作は全般的に奇抜なトリックが目立つが、理論派のチェスタトンらしからぬ実現性の低い物が散見される。代表作とされる「ムーンクレサントの奇跡」をはじめ、「翼ある剣」、「ダーナウェイ家の呪い」など。 とはいえ、「犬のお告げ」や「天の矢」といった名実ともに傑作と云える作品も収録されており、全体的に観て水準以上の短編集となっている。すなわちチェスタトンの復活は成功したと云えるだろう。 率直に云えば、この3作を通じて解ってくるのはチェスタトンのミステリというのは与えられた状況を読者が推理して真相を云い当てることは出来ない。クイーンに代表される知恵比べの要素よりも、異様な舞台設定で起こる事件を解き明かすチェスタトン独特の理論を愉しむところにある。それは恐怖の対象である闇をチェスタトンが知性の光で照らし、白日の下に晒してくれるような効果がある。そして私自身、こうしたチェスタトン独特のロジックに対する渇望感が芽生え、そのロジックと独特な世界観に浸れる事自体が楽しい。だから私の評価はもしかしたら偏愛が篭もっているのかもしれず、正当な評価に成りえていないのかもと思ったりもする。従って合わない人もいるかもしれない。しかしこのシリーズを読むことなく、一生終えるのは勿体なぁと思う。是非とも1冊は手にして欲しい。

Posted by ブクログ

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