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2011/05/11

単に凌辱される訳ではない歪んだ女心

5年以上の時を経て【通常版】が出たばかりなのに限定版を読んでレビューしている今更感はご容赦願うとして、胸キュンの甘い話も上手に描くのに敢えて鬱々とした雰囲気を前面に押し出すのを何とももどかしく思いながら、それでもしかし内容の濃さに圧倒される作品である。 全11編の収録だが、...

5年以上の時を経て【通常版】が出たばかりなのに限定版を読んでレビューしている今更感はご容赦願うとして、胸キュンの甘い話も上手に描くのに敢えて鬱々とした雰囲気を前面に押し出すのを何とももどかしく思いながら、それでもしかし内容の濃さに圧倒される作品である。 全11編の収録だが、2話ないし3話の中編が3作もあるので話としては7つである。作者の得意とする中編の出来映えは相変わらず素晴らしい。凌辱をベースとして軽薄な男子学生共から玩具にされながらも肉欲の歓喜を享受したり、兄との秘めた背景を背負いながらもフツーに恋がしたい女の子の想いが独特の心情描写とタッチで描かれている。寝取られ感もしっかり用意されているが、そうかと思えば奔放で積極的な姉に対抗心を燃やす真面目な妹が頑張っちゃうけどやっぱり姉は一枚上手という作品もあったりして、適度に淫らで乱れた設定を様々な角度から巧みに切り込んでくる作者のアイデアはさすがと言えよう。前後編または前中後編でドラマがしっかり描かれており、様相の異なる官能描写も申し分無しのいやらしさである。 他の作品も侮れない。姉の同級生と恋仲(あるいは秘密の恋仲)という設定が2作品に見られるが、タイプこそ違えど双方とも魅力的なお姉さん振りが好印象だった。個人的にはこの路線をぐんと推し進めてほしいものだが、この作者は少し退廃的に乱れた雰囲気を好むところがあるので難しいかもしれない。ついでに言えば、本作内各話のテイストには振り幅がかなりあるので統一感に欠けるとの見方もでき、読み手によっては「あの作品は猛烈に好きだけどアレは邪魔」みたいな形で好き嫌いが分かれてしまう可能性もある。総じてレベルは高いし、この混沌こそが作者の真骨頂でもあるので、全部をひっくるめて受け入れられれば相当に上質な作品だと言えよう。 冒頭の前後編【ExtraOrdinary】を収録した付録のドラマCDは割と良い出来。原作に無いオリジナルのセリフを程良く入れて補っているし、20分弱という長過ぎない時間も良いと思う。

DSK