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2022/01/06

人間の弱さや感情の揺れが丹念に描かれた良作。著者お得意の猟奇、エロ、グロがないではないが、それらが前面に出ているわけではない。 大正12(1923)年8月、東京。宇佐美家の虹彦とののこは腰部で身体がつながった結合双生児(シャム双生児)。世間体を憚った両親は、虹彦とののこを座敷牢で...

人間の弱さや感情の揺れが丹念に描かれた良作。著者お得意の猟奇、エロ、グロがないではないが、それらが前面に出ているわけではない。 大正12(1923)年8月、東京。宇佐美家の虹彦とののこは腰部で身体がつながった結合双生児(シャム双生児)。世間体を憚った両親は、虹彦とののこを座敷牢で育て、生まれてから6年間ずっと家の外に出さなかった。特にののこは生後一度も意識を持ったことがなく、昏睡状態にある。9月1日、関東を未曽有の大震災が襲い、一家は離散。虹彦とののこはそこで初めて外の世界に飛び出たのだった。そしてそんな最中、ののこが目を覚ます。町の人々に襲われかけたところに、偶然居合わせた見世物小屋「寿一座」のハクダミによって救け出され、双子は一座に引き取られることとなったが…。 深いテーマ性、魅力的な人物たち、確かな画力が読者を作品に引き込む。「個」であることが当たり前とされる現代において、二人であって一人である虹彦とののこの存在は、その「常識」に強烈な疑問符を突きつける。 作中、双子は「普通」の生活を送ることが叶わず、見世物となることでどうにか糧を得る。そしてあからさまな差別は、さらなる弱者への差別となり、差別の連鎖を生む。社会の暗部を晒し、人間の弱さに正面から向き合う作品は稀有。第二部に入ってから休載して久しく、続刊を望むのが困難なのが残念。

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2015/09/11

丸尾末広・江戸川乱歩の香りがぷんぷん…腰で繋がったののこと虹彦のシャム双生児の話。出版社を営む父親と優しい母親、姉との富裕層の暮らしだったが、不具者(片輪者)であると言う事で人の目に触れないよう、人から差別や暴力を受けないよう、座敷牢の中で暮らしていた二人。虹彦は利発だったが、の...

丸尾末広・江戸川乱歩の香りがぷんぷん…腰で繋がったののこと虹彦のシャム双生児の話。出版社を営む父親と優しい母親、姉との富裕層の暮らしだったが、不具者(片輪者)であると言う事で人の目に触れないよう、人から差別や暴力を受けないよう、座敷牢の中で暮らしていた二人。虹彦は利発だったが、ののこは誕生以来意識を持ったことがない。虹彦の腰にくっついた生きた人形の様だった。そんな世界の中から関東大震災で焼け出され、家族とは会えず、見世物小屋の主人に拾われる事になりーーーーー これが1巻、表紙裏の「彼らは二人であって一人だ。同じ日に生まれ、同じ日に死ぬ。」の結末を見届けたいが、続刊の発行はされてない様だ…残念至極。シャム双生児は同性の双子にしか生まれないと言う作中の解説を含め、二人の出生には劇的なものがあるに違いない。

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2013/03/17

「よそ者には上か下かしかない。自分たちより上なら遜り下ならとことん踏み潰す」 「強い者から弱い奴へ 差別はまるでゲロのように上から下へ垂れ流される」 関東大震災で混乱する日本を舞台に、シャム双生児である虹彦とののこが体験する数奇で壮絶なお話、第二部が連載開始直後に休載に入ってか...

「よそ者には上か下かしかない。自分たちより上なら遜り下ならとことん踏み潰す」 「強い者から弱い奴へ 差別はまるでゲロのように上から下へ垂れ流される」 関東大震災で混乱する日本を舞台に、シャム双生児である虹彦とののこが体験する数奇で壮絶なお話、第二部が連載開始直後に休載に入ってから・・・・何年経ちましたっけ・・・・・。 単行本になってるのは第一部だけですが、これはこれでしっかりと読み応えがあり、差別の物語としてちゃんと完結しています。 amazonに、あの美しい表紙の画像が上がってないのが悲しい。

Posted by ブクログ

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