商品レビュー
5
1件のお客様レビュー
「助教授」から「母(人妻)」への過渡期の作品
少々紛らわしいが『淫彩』がメインタイトルである。しかし、サブタイトルの『この熟女は夜に喘ぐ』の方が的確に示している。大学教授にして清廉で高潔な人妻という38歳のヒロイン【桐子】に妙味を感じるのは、本作が作者を代表する青年コミック長編『鷹月助教授の淫靡な日々』と『たとえば母が』(共...
少々紛らわしいが『淫彩』がメインタイトルである。しかし、サブタイトルの『この熟女は夜に喘ぐ』の方が的確に示している。大学教授にして清廉で高潔な人妻という38歳のヒロイン【桐子】に妙味を感じるのは、本作が作者を代表する青年コミック長編『鷹月助教授の淫靡な日々』と『たとえば母が』(共にアクションコミックス)の、ちょうど中間期に描かれているからであろう。この2つのキャラを併せ持ったような桐子、さらには本作そのものが、これらの過渡期を表しているように思える。そして、ストーリー的はやや後者寄り。つまり、ドラマとしての起伏よりも、とにかく熟女が男に溺れ、堕ちていく過程にスポットを当てている。なので、可愛がっている主人公(大学3年生のゼミ生)のムスコがご立派という話から刹那の戯れ、もしかしたら一夜限りの火遊びだったかもしれない交わりに端を発した墜落物語が延々と続く流れである。何故か途中で話が一時モルジブへ飛んだりするものの、基本的には次第にエスカレートしていく爛れた関係と交わりの連続である。開発されてからは、3日ほど学会で会えなかっただけで体が疼いてしまい、公衆便所の落書き(女性用の個室にこれほどの落書きがあるのか疑問だが)を見ただけで昂ったところを見知らぬ男に凌辱(と言っても終いには「もっとぉっ」と叫んでいるが)されたり、逆に、訳あって入院した桐子の後輩女医と主人公が病院でカラんだりするエピソードが挿まれるが、後半に出てくる夫までも巻き込んで、堕ちに堕ちていく桐子の痴態がこれでもかっ!と壮絶に描かれている。裏を返せば、結末に捻りが乏しい気も若干するが、官能要素がそれを補って余りある。 作者お得意の寝取られ描写もふんだんにあり、各話毎に語り手を変えた独白で進行するスタイルが、この淫靡で退廃的な雰囲気を助長している。前半と後半とで面子の異なる3Pがあれば、黄金聖水のみならず大きい方の粗相まであったりで、濃密な淫猥さを放つ情交描写に関しては言うこと無しである。ただし、お尻責めがかなり多いので、この点については好みを分けるかもしれない。
DSK